あの国民的アイドルの妹は...。１１ (ページ7)

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コードブルー第5話ページ7

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( ICU前の廊下でのシーン )
( 佐伯視点 )

佐伯「ちょっと待って」

ICUから出てきた名取を引き止めた。

数日前、名取はミスを犯した。

骨盤骨折を見落として患者の倉田さんを二次病院へ搬送してしまった。

いつも”こんなもんだろ”みたいな感じで、軽くやってのける人が名取。

技術はあるくせにそれを使わない。

名取「佐伯も怒るのかよ」

佐伯「もうヘコんでるから怒んない。さっき倉田さんに言われたでしょ？」

倉田さんは言ってた。

“言い訳はいくらでもできる。でも、言い訳をする人間に命を預けたいと思うか？”って。

さっき名取は言い訳を並べてたから。

佐伯「私さ、藍沢先生に酷いことたくさん言ったの。17のときに車に轢かれてここに運ばれて」

名取「は？」

佐伯「いきなり車が突っ込んできて私もその被害に遭ったのね？数人巻き込まれてほぼ助かった。...私のお腹の中にいた赤ちゃん以外。

そのとき藍沢先生が担当医で。妊娠初期だったし、あの事故で赤ちゃんが助かることは無理なのに八つ当たりしたんだよね」

何で私が生きてるの？って。

たくさん、たくさん言った。

佐伯「藍沢先生は無表情だけど、そんな私にも優しかった。妊娠のことで親とも疎遠だったし、彼氏とも上手くいかなくなったけど。藍沢先生だけがいてくれた」

特別何かをしてくれたわけではない。
でも孤独と絶望を味わった私の近くにいてくれた。

担当医だからなのはわかってるけど、誰かが近くにいるっていうのだけで安心出来たんだ。

佐伯「言い訳も何も言わずに退院の日までいてくれて、”あの子のために生きろ。お前は強い”って言ってくれたんだ。

藍沢先生みたいになりたいって思ったよ。だから言っちゃった。藍沢先生みたいな医者になるからって。だから私は藍沢先生が担当してくれてよかったって思ってる。...そういうことなんだよ」

この先生が私の担当でよかった。

自分の技術で患者を救って、そう思ってもらえたら私だって嬉しいから。