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彼が 再び
保健室に 顔を見せたのは
あれから 数日後… のことだ。
視線さえ合わせなかった彼が
1人で ここを訪れるのは、
本当に、本当に久しぶりのことで…
3年生に進級する直前の
あの出来事以来、のことだった。
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大「先生… 久しぶり、…でもないかぁ。」
開いた扉から 1歩足を踏み入れて
下を向き、私の目を見ないまま
数歩 歩みを寄せた彼は、
目の前の丸椅子に跨るようにしてから
ゆっくり そのまま腰を掛けると
大「お話、しに来た。」
同時に ぐん、と 前を向いて
吹っ切れたような そんな笑顔を私に向けた。
あ「…」
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キーーン コーーーン カーーーン……
鳴り響く 始業のチャイムに
大「今日は このまま
サボるのも、文句 言わないんだね。」
あ「…」
くすくすと 小さく笑う彼に
完全に ペースを持っていかれている自分…
.
大「先生、こないだ ありがとね。」
あ「…え？」
大「片倉奈々… あれ、俺の 幼なじみなの。」
どおりで よく見かけた訳だ。
きっと、彼自身も 意識することさえしない
気を遣うことのない 空気のような存在。
そんな彼女は、いつでも
視界の隅に、彼を
目の届く範囲に 入れ込むように過ごしているのが
見かける度に、明らかだった。
だから彼女が、私の視界に 映りこむのも
ごく当たり前で、当然のこと だったんだ。
大「俺…みたいにさぁ
酷くならなかったから… 良かったよ。」
あ「っ、……そっか。 良かった、ね…」
掛けた言葉に 嬉しさを滲ませるよう
目の前の顔は はにかむように微笑んでいく。
その後、数分間
窓から見える校庭での 授業風景を見つめたまんま
じっと 黙っていた 彼は
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大「先生はさ、
どう思った？奈々の コト。」
あ「え……」
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唐突に振り返って 口を開いたかと思ったら
彼は、そんな 揺れ動く私の気持ちを
更に揺さぶるようなセリフを言って
私の瞳を 見つめてくる。
あ「可愛い子……、だね。」
大「……」
あ「それに…しっかりしてそうで すごくいい子。」
その言葉に 下を向いて嬉しそうに微笑む彼。
.
大「だろ？ 俺には勿体ないんだけどさ…
守ってやれたらなぁ、って 思ってるんだ。」
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作者名：ゆっこ
| 作成日時：2016年7月13日 12時
