あの日の嘘と優しさと 3 (ページ41)

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大「……、」

だいぶ時間を掛けて待って得られた回答は

それは、もはや

彼女なりの、精一杯すぎる

俺への愛の告白のよう、だったのだから……

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どこを見つめたらいいか判らない位に
動揺しきった俺は

次の言葉が出せないでいた。

でも、奈々は＿＿＿＿＿＿

もう止まらない、といった感情を、続けて…

ぴたりとくっついた背中の上へと吐き出していく。

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奈「でも私は、恋なんて、愛なんて… 要らない。
　そんなまどろっこしいのは邪魔なだけなの。

　私は大貴との関係を壊したくない

　 ………ただ …それだけ………。だから、」

大「……っ」

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こんな時なのに

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ぎゅっと目を強く閉じて
手のひらに力を込めた時、

一瞬、脳裏に浮かんだのは

忘れると決めた先生のこと……

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一方的だったかもしれない、けれど

あの日身体を重ねたはずだったのに
あの男を追い掛けたまま自分を微塵も見てくれない

そんな大好きだったはずの、先生の表情が

今になって、はっきりと思い出せなくなっていて…

そのことが、無性に
悲しくて、悲しくって仕方なかった。

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あんなに好きだって思ってた
先生に向けてた想いってもんが

一瞬で消え去ったように感じてしまった。

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大「……ありがと。」

奈「…え、？」

大「俺……、奈々に
　これからも、甘えたまんまでいい…のかな…」

奈「……大貴、」

俺、今
自分の気持ちに

心から正直でいられてる？

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強く噛みしめて、小さくキリリと鳴った奥歯と
同時に思わず

涙が出そうになってしまって…

堪えようと僅かに小さく震えてしまった身体には

どうか今は、触れないで欲しい。

言わなくったって

今まで嫌って程に見守ってきただろう俺のこと

奈々には理解できてるだろ？

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俺は、背中の上でぴくりとも動かなくなった奈々に
気付かれたくないが為に

再び足を動かした。

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その後、保健室に着いてからも

俺は先生の顔を 1度も見ることはしなかった。

奈々の不安そうな顔を

ただただ見つめて

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じっとうつむくその小さな頭を

何回も、何回も撫で続けた。

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