あの日の嘘と優しさと 3 (ページ33)

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残りがあと1年だ、と思うと

そんな学校生活も含めた生活全部を
なんとか有意義に過ごさなきゃ、と

勝手に思ってしまうからホンっト不思議で…

受験勉強があることすらも忘れて俺は

教室ではふとしたことで仲間たちとバカやって、

放課後も

受験を見据えてバイトを冬でやめた山田を余所に
いそいそと、労働に勤しむ生活を続けていた。

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するとやっぱ、なんだかんだ体力を使うもんだから

家に帰れば、

毎日、意識が飛ぶくらいの
達成感に包まれながら、ベッドに身体は沈んでゆく。

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でも……

ふとしたことで思い出すんだ…

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胸の奥で疼くような苦い苦い

鍋底の焦げた部分のようなもの………

大「……」

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そんな時、決まって見惚れてしまってたのが

酒屋(バイト先)の商品の、高級そうなウイスキー。

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こげ茶色のボトルの中身が
太陽の光に透かされて

麗しげにゆら、ゆら、と

揺らめいてくのをぼんやり見つめていれば

　『こんど、2日酔いになりにくいお酒
　先生の為におっちゃんに聞いといてやる。』

って……

そんな約束をした日もあったのに…って

こびりついちゃったまま
剥がすことのできない焦げと同じ、

胸の中の奥の奥の突っかかりが苦しくなるんだ。

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店「大ちゃん、どうかしたか？考えごとかい？」

店の隅でぼーっと棚を眺め
突っ立っていた俺を見た、おっちゃんが

まるで、親父のように優しく声を掛けてくれる。

大「や、ぁうん……そういえば……
　俺、おっちゃんに聞きたいことあったの。」

店「ん？」

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大「ちょっとくらい深酒しても
　次の日に響かない
　いいお酒ってどんなヤツ？

　 …やっぱ高級なお酒だったりするのかな…」

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大好きなお酒のことを尋ねられたおっちゃんは

そりゃもうニコニコ嬉しそうに

店「そうだなぁもう、
　大ちゃんにも教えといてもいいかもな～」

なんて満面笑顔を浮かべてくれて。

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丁寧に教えてくれるおっちゃんの話は

知ったところで必要のない知識だったのに…

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思わず、のめり込むように

大人の世界のそんな話に必死に耳を傾けてた。

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