あの日の嘘と優しさと 3 (ページ20)

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大「＿＿＿＿＿、待って！俺、 …も行く…」

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校舎が暗闇に包まれかけた

こんな時間のことだっただけに

緊急事態に生徒の同行なんて
有り得ないような、彼の宣言だったけど。

真意を得るかのように彼の瞳の奥を見れば

その真っ直ぐな大きな瞳は
私と正反対であって限りなく澄んで見えたから

まるで惹きつけられてしまったかのように

思わず、縋(すが)りたくなってしまったんだ。

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あ「……っ」

すると、何かを感じ取ったであろう彼は、

私の視線の先にある鍵を手にし

有無を言わずに部屋を出て

静かすぎる廊下を早足で進み始めたから、

私もそれに続いて、必死に
怖気(おじけ)づく足を前に出し続けた。

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＿＿＿＿＿＿＿途中、

あってはならない最悪の状況が頭を霞めて
一瞬、考え込んでしまっていたものを

振り払うように、小さく左右に動かせば

それを真横で見ていた彼が

優しく背中に手先で触れて

大「センセーが…
　しっかりしなきゃ、でしょ？…ね？」

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あんなに酷いことを言ってしまったばかりなのに
まるで、

さっきの出来事がなかったかのように

今だけでも接してくれる彼は

細かく震えが続く手先で鍵を通そうと焦る
そんな私を見兼ねて

手を上からぎゅっと握りしめる。

大「きっと…、きっと大丈夫だよ………。」

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その言葉に何かが溢れてきそうになって

口元を引き締め

ツンとなった、目頭と鼻の奥に力を込めた。

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ここまでの出来事は

実際には、ほんの数分のことだったはずで。

救急車のサイレンも未だ聞こえない校舎を
我先に、と駆けて進めば…

大「っと、場所…分かる…の？」

あ「……。」

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あ「ここ母校、なの……」

大「え。」

軽く息を弾ませた彼の喉仏が、横で大きく動いて

小さくごくん…と、息を呑んだのが見えた。

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