あの日の嘘と優しさと 3 (ページ15)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:51,435 hit

114　*　17-21 ページ15

.

大「あーーもーーだからさぁ、
　悪かったって言ってんじゃんっ！」

放課後、

宏「ま、とりあえず…だな。
　それだけは書かないと…決まりなんだからさ。」

.

＿これでも一応、教師だから…仕方ねぇだろ。

って、椅子の背もたれに大きく体重を掛けて

1日の疲れを発散するように

宏「うっーーーーあぁ！」

と叫んだとともに大あくびをした
俺の担任である薮っちは、

シャープペンを鼻の下に挟んだ格好のまま
一向に文字を書く手が進まない、

こんな俺の目の前に
置かれてる『反省文』なる原稿用紙に

目を細めて視線を送ってからため息をつく。

宏「何でもいいよ。
　とりあえず、文字をなにかしら埋めとけばさ。」

.

……でた。適当教師め。

.

多分だけども。

面倒臭いのは、待ってる方の自分だってことに
ようやく気が付いたのであろう。

宏(はやく、やれ。)

口パクで俺に向かって投げたセリフに
しかめっ面の俺は、天を仰ぐ。

.

.

結局はこんなんだから、

場合によっちゃ
助かっちゃうときもあるんだけども。

どうせだったら

もっともっと、ルーズでいい…

.

そんで、

大「俺今日は
　どうしても早く帰りたかったんだよ……」

こんな時はいっそのこと、

見逃してくれちゃってもイイんじゃねぇか……？

.

.

机の下で貧乏ゆすりをする俺を
薮っちは、持っていた出席簿で軽く叩(はた)くと

宏「んーなおまえ、自業自得だろうが。」

あれ？
どっかの誰かと同じセリフ…

大「……うぅ。」

.

.

やるしかないのか……

だけどさぁ、一体何を書けばいいんだよ。

そうは思っていても、

焦る気持ちのせいか
反省文はいつまで経っても埋まらねぇし、

日が短い冬だから

考えれば考えるほど
真っ白になってくる頭ン中とは逆に

辺りは一面、あっという間に

その暗さはどんどん増していくばかりだった。

.