November.ゆっくりでいい ページ9
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私たちはイチゴとチョコバナナのパンケーキを1つずつ注文して、出来上がりを待っていた。
目の前には山田くんの姿。
店内にいる女の子のお客さんが山田くんをチラチラ見ているのを感じた。
皆見ちゃうよね、私だって山田くんのこの整った顔には見慣れているはずなのに、未だに見とれちゃうもん。…この人が私の彼氏だなんて信じられない。
私の視線に気づいた山田くんは、
ん?と言って私に首を傾げる。
「どうしたの?」
「いやっ!なんでもない…。」
こんな完璧な彼が私のことを好きだなんて。
しかも私はまだ知念くんのことを吹っ切れていない状態なのに…。
「…そういえばさ、」
山田くんはガタッと椅子に座り直し、私を真っ直ぐに見つめる。
「今日大ちゃんと知念に、Aちゃんと付き合うことになったって報告した。」
「えっ!そ、そうなんだ…。」
予想外の言葉に私はつい動揺してしまう。
隠しておきたいわけでも、そもそも隠しきれるわけもないんだけど…心の準備がまだ出来てなかったから。
「…その、2人はなんか言ってた…?」
「うん。おめでとうってさ。大ちゃんなんかビックリしてジュースこぼしてたよ。」
「ふふっ、そっか。なんか想像できるかも。」
「…知念も祝福してくれたよ。」
山田くんは少し悲しそうな笑顔で私にそう伝えると、
テーブルの上に置いていた私の右手をそっと取り握った。
「ゆっくりでいいから…知念のこと忘れるのは。」
「…山田くん…ありがとう。」
「それよりもさ、二人で楽しい時間たくさん作っていこ?」
私がコクッと頷くと、山田くんは良かった、と目を細めてキラキラとエフェクトがかかったみたいな、優しい笑顔で喜んでくれた。
こんなグラグラで不安定な私なんかのことを、山田くんはふわっと優しく包み込んでくれる。
山田くんと一緒にいると、とても心地よくって温かい気持ちになるんだけど、それと同時に自分が卑怯に思えてくる。
ふと思う、山田くんってなんで私のこと好きになってくれたんだろう。
そんなことを考えていたら、パンケーキが出来上がり運ばれてきた。
「うわ、美味しそう〜!」
「本当美味しそう。食べよっか。」
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ano(プロフ) - せりかさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!実は私もせりかさんのお話を読んでまして…コメントいただけて感動しておりました(⑅•ᴗ•⑅)更新頑張ります!これからも宜しくお願いします! (2022年1月16日 7時) (レス) id: 7a1710a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして〜。おすすめから来たら面白くて1からパート3まで一気に読んじゃいました。主人公ちゃん気分で青春きゅんきゅんさせてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2022年1月11日 17時) (レス) id: 4fa3f7b9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ano(プロフ) - まみぽこさん» ありがとうございます!!コメントとても嬉しいです〜!これからもキュンキュン楽しんでいただけるように頑張りますので宜しくお願いします! (2021年11月7日 16時) (レス) id: 7a1710a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
まみぽこ(プロフ) - 最近Hey!Say!JUMPの沼にハマってきた者です!すごくドキドキしたり 有岡くんが間に挟まれて可愛いなって思いました笑 更新頑張ってください!応援してます! (2021年11月6日 23時) (レス) id: 4a93bda961 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ano | 作成日時:2021年10月6日 14時