春に君を想う【3】(Yuri.C)

December.元気の無い君 ページ30

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有岡side.


「さっっむ……。」


今日は冷え込むって天気予報で言ってたから割と厚着で出てきたんだけど…12月ともなるとさすがに寒い。

雪でも降りそうだな〜なんてぼーっと考えていたら、
目の前には見覚えのある姿が。

後ろ姿でもわかるんだよな。
歩き方っていうのかな、所作がもう…ね。
うん、俺やっぱり好きだなーって。
いやもう恋愛感情はないけどね？


「よっ！Aちゃん、おはよう。」


後ろから声をかけると、振り返り俺の姿を確認してニコーっと笑顔になるAちゃん。
うん、今日も相変わらず可愛いです。


「大ちゃん、おはよう。」


朝からAちゃんと二人きりになるのは久しぶりで。いつもだいたい山田とか、いとちゃんがいるからね。…ちょっと得した気分。


ルンルン気分で隣にいるAちゃんを見ると、
なんだか冴えない表情をしていた。


「… Aちゃん？」

「…ん、なに？」


声をかけると一応笑顔で応えてはくれてるんだけど…なんかいつもと違うって言うか、無理してる。


「なんかあったの？元気なさそうに見えるけど…。」


「えっ？！…いや、なんでもない…よ？」


目が泳いで明らかに動揺しているAちゃん。
…この子は本当に嘘が下手なんだよな。




「……山田となんかあった？」


そういえば、この間の誕生日のこととか
山田からもなんも聞いてなかったけど…
なんかあったのかなーってちょっと気にはなってた。


「……大ちゃん、今日って時間あったりする？」

「うん！もちろん。」



そんな訳で今、俺たちは構内にあるベンチに2人並んで座っている。
隣に座るAちゃんを見ると、なんだか思い詰めてて今にも泣き出してしまいそうだった。

「…あー、えっと…そうだ！この間の誕生日、どうだったの？山田と一緒だったんでしょ？」

「あ、うん。楽しかったよ？涼介くんが夜ご飯作ってくれたり…次の日は2人でケーキ食べたりして。本当…こんなに幸せな誕生日…初めてだった。」


幸せって言ってるAちゃんの表情は
全然幸せそうに見えなくて。
俺はそっか、ってそれしか返す言葉が見つからなかった。


…いや、どうした俺。
ずっと気になってモヤモヤしていた"あの事"…
今が聞くチャンスだ。

このモヤモヤが、もしかしたらAちゃんの元気の無い原因かもしれないんだから。



「…あの、さ。」

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