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October.距離 ページ3

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山田side.


「…はい、どうぞ。」


コトッ、とココアを入れたマグカップを机の上に置く。
いつもはココアなんて家にないんだけど、先週たまたま姉ちゃんが来た時に置いていったやつ。余っててよかった。


「ありがとう。」

Aちゃんはフーッと熱を冷ましながらココアを口へと運び、一口飲むと少し幸せそうに笑った。それを見て、俺はホッとする。




それにしても、まさか俺ん家にAちゃんが来るなんて。正直想像もしてなかったから若干テンパり気味だ。
もちろんAちゃんは何の気なしに来たんだろうけど…。

俺だってこんな傷心の身の女の子をどうにかしようだなんて全く思ってないけどね?
思ってないけどさ…男の一人暮らしの部屋だよ?無防備すぎない?




「…山田くん?どうしたの?」


「へっ?!」

Aちゃんに急に呼ばれてビックリした俺は変な声を出してしまう。


「なんか山田くん…考え事でもしてるみたいだったから。」


「あぁ、ごめんごめん。大したことじゃないよ。」


俺は淹れたコーヒーを片手に持ちながら、
二人がけのソファにちょこんと座るAちゃんの隣に腰を下ろす。



「今日は本当にありがとう…。山田くんのお陰でちょっと元気出たよ。」


「別に俺、何もしてないよ?」


「ううん…そばに居てくれるだけで嬉しかった。本当ありがとう。」


控えめな笑顔で俺にお礼を言うAちゃん。
今すぐは無理かもしれないけど、早くいつものように元気な笑顔に戻って欲しい。

そのためだったら俺、何でもするよ?

もっと俺を頼って欲しいし、ワガママだって言って欲しい。


ふとした時に見せる悲しそうな顔が、俺の胸を締め付けた。
そんなに悲しそうな顔しないでよ。
俺なら…Aちゃんのこと一番に大切にするのに。



じっと見つめる視線に気づいたAちゃんは、
俺を見て不思議そうに首を傾げた。


「山田くん…?」



二人の間に少しあった距離を縮めるように、
俺はソファに座り直してAちゃんに近づく。

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ano(プロフ) - せりかさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!実は私もせりかさんのお話を読んでまして…コメントいただけて感動しておりました(⑅•ᴗ•⑅)更新頑張ります!これからも宜しくお願いします! (2022年1月16日 7時) (レス) id: 7a1710a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして〜。おすすめから来たら面白くて1からパート3まで一気に読んじゃいました。主人公ちゃん気分で青春きゅんきゅんさせてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2022年1月11日 17時) (レス) id: 4fa3f7b9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ano(プロフ) - まみぽこさん» ありがとうございます!!コメントとても嬉しいです〜!これからもキュンキュン楽しんでいただけるように頑張りますので宜しくお願いします! (2021年11月7日 16時) (レス) id: 7a1710a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
まみぽこ(プロフ) - 最近Hey!Say!JUMPの沼にハマってきた者です!すごくドキドキしたり 有岡くんが間に挟まれて可愛いなって思いました笑 更新頑張ってください!応援してます! (2021年11月6日 23時) (レス) id: 4a93bda961 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ano | 作成日時:2021年10月6日 14時

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