November.大丈夫 ページ16
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「山田くん!」
びっくりして思わず声が大きくなってしまう。
別にやましいことなんて無いのに、なんだか見られたくなかったような、そんな罪悪感を感じてしまった。
「涼介。」
「お疲れ。てか知念、その髪型なんか慣れないわ。」
山田くんは知念くんの髪型を見て笑っている。
良かった…2人きりでいたの変に思われてなくて。
「えー?そうかなぁ、僕は結構気に入ってるんだけど。」
「それ、彼女に染めてもらったんでしょ?…春から美容師だっけ?」
ドクン、と胸が高鳴る。
彼女さん…に染めてもらったんだ…
「…うん、そうだよ。なかなか綺麗に染まってるよねぇ。また気まぐれで違う色に染めてもらうかもだけど。」
そうやって嬉しそうな顔で言う知念くんは
本当に幸せそうで。
あぁ、もう終わったんだ。私の片想いは。
改めて突きつけられる現実に胸がチクッと痛む。
すると山田くんはハッと思い出したように私を見て
いつもと変わらない優しい笑顔で聞く。
「…あ、そういえばAちゃん、30日ってどこか行きたいところある?」
「ううん!どこでも全然…。」
「オッケー、じゃあ何か考えとくわ。」
「ありがとう。」
山田くんとの会話も知念くんの前だと上手喋れない。会話を聞かれたくないような…知られたくないような、そんな気持ち。
「そう言うわけだから知念、今年の誕生日は一緒に祝ってあげられないけど泣くなよ?」
なんて冗談ぽく言う山田くん。
「…はいはい。じゃあ僕はそろそろ行くね。」
「おう。また後でなー。」
私たちに気を使ってか、その場を立ち去った知念くんの後ろ姿から目が離せず、ただただぼうっと眺めていた。
「… Aちゃん、大丈夫?」
山田くんの問いかけに我に返り、急いで笑顔を作って山田くんの方へ振り返る。
「うん?なにが?」
「いや…その、知念と二人でいたから心配しちゃった。Aちゃん、泣いてないかな…って。」
そう言って頭をかきながら困った顔で言う山田くん。
どこまでも優しい彼の心に、胸がキュンと痛くなる。
「ありがとう、でも大丈夫だよ?私…山田くんのお陰で立ち直れたし、今もこうやって笑顔で過ごせてる。だからもう、大丈夫だよ。」
そう自分にも言い聞かせるように、「大丈夫」と何度も唱える。
私は大丈夫。きっと大丈夫だ…。
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ano(プロフ) - せりかさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!実は私もせりかさんのお話を読んでまして…コメントいただけて感動しておりました(⑅•ᴗ•⑅)更新頑張ります!これからも宜しくお願いします! (2022年1月16日 7時) (レス) id: 7a1710a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして〜。おすすめから来たら面白くて1からパート3まで一気に読んじゃいました。主人公ちゃん気分で青春きゅんきゅんさせてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2022年1月11日 17時) (レス) id: 4fa3f7b9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ano(プロフ) - まみぽこさん» ありがとうございます!!コメントとても嬉しいです〜!これからもキュンキュン楽しんでいただけるように頑張りますので宜しくお願いします! (2021年11月7日 16時) (レス) id: 7a1710a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
まみぽこ(プロフ) - 最近Hey!Say!JUMPの沼にハマってきた者です!すごくドキドキしたり 有岡くんが間に挟まれて可愛いなって思いました笑 更新頑張ってください!応援してます! (2021年11月6日 23時) (レス) id: 4a93bda961 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ano | 作成日時:2021年10月6日 14時