November.騒がしい ページ14
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「じゃあ、また大学でね。」
私の家の前まで送ってくれた山田くんは
繋いでいた手をそっと離し、そのまま私の頭をポンポンと撫でる。
「うん…。」
離れがたいな…もっと一緒にいたい、なんて言ったら困らせちゃうかな。
じっと山田くんを見つめると、優しく微笑んで
「ん?どうしたの?」
なんて、大きな瞳で私を見る。
「あの……」
「A?」
急に名前を呼ばれて、声のした方をパッと見ると、こちらへ向かって歩いてくる人影が…。
「…えっ?お母さん?!」
「もう家の前でなにしてんのよ、風邪引くわよ…って、あら?もしかして…そちらの方は?」
お母さんは山田くんを見るなり、ニヤニヤして私の肩に小突いてくる。…もう恥ずかしい!
「えっと…その、」
私が吃っていると、山田くんは爽やかな笑顔で
「はじめまして。Aさんとお付き合いさせていただいてます、山田涼介です。」
ぺこりと頭を軽く下げて挨拶をしてくれた。
「あらー!そうなの?こんなイケメンとうちのAがねぇ〜!大丈夫?Aが迷惑かけてませんか?」
「もう!お母さん!うるさいから…」
「いえ全く。本当に素敵な女性で…僕にはもったいないくらいです。」
ってあまりにも真っ直ぐ言うから、私は思わずドキッとしてしまう。隣のお母さんの顔をチラッと見ると、口に手を当てながら目を見開いて驚いている。
「あら…そう、ふふっ。山田くん… Aのこと、よろしくね?仲良くしてあげてちょうだい。じゃあお母さん先家の中入ってるからね。」
そう言って鼻歌を歌いながら上機嫌で家の中に入っていった。
…はぁ、もう恥ずかしいんだから。
「…山田くん、ごめんね?うるさいお母さんで…。」
「ううん。ご挨拶できて良かったよ。それに…」
そっと私の頬に触れる山田くんの手は
すっかり冷えてしまった私の顔を優しく温める。
「Aちゃんのお母さんに認めてもらえて良かった。」
「う、うん…。」
「じゃあ、俺そろそろ帰るね。」
「うん、送ってくれてありがとう。……あの、」
最後にキスしたいな、と思ったけどなんて言い出したらいいのかわからずモジモジしていると
山田くんがそれに気付いて、ちゅっと優しく触れるだけのキスを落とす。
「ふふ…可愛い。」
「そんなことないもん…。」
「…誕生日、楽しみにしててね。」
「うん…楽しみにしてる。」
今年の誕生日は何だか色々と起こりそうな予感がした…。
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ano(プロフ) - せりかさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!実は私もせりかさんのお話を読んでまして…コメントいただけて感動しておりました(⑅•ᴗ•⑅)更新頑張ります!これからも宜しくお願いします! (2022年1月16日 7時) (レス) id: 7a1710a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - こんにちは、初めまして〜。おすすめから来たら面白くて1からパート3まで一気に読んじゃいました。主人公ちゃん気分で青春きゅんきゅんさせてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2022年1月11日 17時) (レス) id: 4fa3f7b9d5 (このIDを非表示/違反報告)
ano(プロフ) - まみぽこさん» ありがとうございます!!コメントとても嬉しいです〜!これからもキュンキュン楽しんでいただけるように頑張りますので宜しくお願いします! (2021年11月7日 16時) (レス) id: 7a1710a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
まみぽこ(プロフ) - 最近Hey!Say!JUMPの沼にハマってきた者です!すごくドキドキしたり 有岡くんが間に挟まれて可愛いなって思いました笑 更新頑張ってください!応援してます! (2021年11月6日 23時) (レス) id: 4a93bda961 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ano | 作成日時:2021年10月6日 14時