春に君を想う【3】(Yuri.C)

November.ゲーム ページ12

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「も、もう1回だけ…！」


「えーまた？これで何回目なのよ、Aちゃん。」



あの日にお邪魔した以来の山田くん家、ということもあって、私は家に入るまでの間緊張していたんだけど

山田くんが唐突に、一緒にゲームしない？って
沢山あるゲームソフトを机の上にズラーっと並べた。
Aちゃんが決めていいよって言ってくれたから、私は対戦もののレースゲームを選んだんだけど…さっきからボロ負け。

…てゆうか、山田くん強すぎじゃない？！



「じゃあ次、負けた方が罰ゲームね。」

なんて余裕な顔で私を見て言う山田くん。



「えぇ〜…山田くん強すぎるんだもん。」


「Aちゃんが弱すぎるんだよ。」


悪戯っぽく笑う山田くんに
ジトーっと見つめると


「…わかったよ、じゃあ20秒ハンデね。それで負けた方が罰ゲーム。いい？」


「いいの？！さすがにそれなら勝てるかも。」

よーし、と腕まくりをすると
隣からププッと吹き出す声が聞こえた。
…むむ…絶対勝ってやる！









……


「えぇー…なんでぇ…。」


「はい、俺の勝ち〜」


20秒のハンデを貰った最後の勝負、
あと少しでゴール！と思っていたら後ろから甲羅を投げられて(山田くんの仕業)、結局4位。
山田くんはもちろん1位でゴール。

完全に油断してたなぁ…。


「じゃあ、早速罰ゲームだけど、」


と言って要求された罰ゲームは得意なモノマネ披露。
私は唯一？自信のあったお笑い芸人さんのモノマネを全力でやってみたんだけど……、
ふと我に返ると物凄く恥ずかしくなり、顔から火が出る。


「うぅぅ……。」

真っ赤であろう顔を両手で隠しながら俯くと、
山田くんはお腹を抱えながらケラケラと笑った。



「あはは！Aちゃん、最高！」


「もう〜…最悪…。」


「はぁー、涙出たわ。ほらAちゃん、顔上げて？」


山田くんは私の頭をポンポンと優しく撫でて
私の顔を覗き込む。



「顔、見せてよ。」


「うぅ…」

恥ずかしいな、と思いつつゆっくり顔を上げると
にっこり微笑んだ山田くんと目が合う。



「…可愛い。じゃあ、ご褒美ね。」


そう言って私の後頭部を山田くんの手のひらが支え、彫刻のように整った彼の顔が近づく。
キスされる、と思ってギュッと目を瞑ったすぐ後に山田くんの唇が私のに触れる。


優しくふにっと触れるだけのキスが私の頭の中をフワフワとさせる…。
あぁ、私山田くんのこと好きかも…しれない。

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