狼/青年 Yuri.C 4 ページ4
月明かりだけが私たちを照らしていて
厭らしい水音が、ピチャピチャと耳に響いた。
「ん、ゆうり…。」
侑李の生温い舌が、私の舌に絡まる。
溢れるそれが私の口からツーッと垂れてしまう。
いままで侑李とはただの幼なじみで、
まさかこんなことするなんて
全く想像もしてなかったんだけど…。
侑李を、受け入れている自分がいた。
私がピクッと舌を動かすと、
私の腕を掴む侑李の手の力が強くなるのがわかった。
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それからどれくらい、
経ったんだろう。
侑李がゆっくりと顔を離して、
私をじっと見つめる。
あれ、侑李ってこんなに男っぽかったっけ。
数分前の侑李とは別人に見えて、
急にドキドキする。
「A、そんな最低なやつのことなんか忘れて、僕と一緒にいようよ。」
そう言って侑李は優しくキスをする。
じんわり優しく、温かくて包み込むような口付け。
あ、この感じ…知ってる。
別れた元彼も最初はこんなキスだった。
『好き』が伝わってくるような、甘いキス。
侑李、私のこと好きでいてくれてたんだ。
「侑李…。私侑李のそばに居る。」
今度は私から甘いキス。
侑李はビックリしてたけど、
そのまま目を閉じて、私の腕を掴みゆっくりとベッドに押し倒した。
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なんでいままで気づかなかったんだろう。
こんなにも近くに、
私のことを一番に想ってくれる人がいたことを。
初めて見る侑李の体は
しっかり男の子で、
私を優しく包み込んでくれた。
私の隣で眠る侑李。
…でもいつからだろう?
いつから私のことを好きになってたの?
「…そんなに顔見られると、照れるんだけど。」
「あ、起こしちゃった?ごめんね。」
よいしょ、といって上半身を起こす侑李。
裸のその姿に慣れてなくて、まだドキドキしちゃう。
私の頭を優しく撫でて、
「なに、考え事?」
と聞いてきた。
「うーん。侑李っていつから私のこと好きだったのかな、と思って。
ずっと一緒にいたのに気づかなかったよ。」
えへへと惚気けた顔で言うと、
侑李は微笑んで
「Aは知らなくていいんだよ。」
そう言って、私に優しく口付けをした。
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作者名:ano | 作成日時:2021年5月23日 9時