狼/青年 Yuri.C 3 ページ3
「あ、これはその…。」
さっきまでボロ泣きしてたのがばれちゃう。
急いで侑李から目を逸らすと、
侑李は私の顔を覗き込んで
「いいよ無理しないで。泣けば?」
なんて言うから、私の涙腺は崩壊。
侑李の前ではいくつになっても、
子供みたいに戻っちゃう。
涙でぐしゃぐしゃの顔と嗚咽で
可愛らしさの欠けらも無い。
「私っ、なにがだめなんだろっ…。」
子供みたいに泣きじゃくる私に侑李は
「Aは何も悪くないよ。Aの魅力は僕が一番わかってるから。」
そう言って優しく抱きしめてくれた。
温かくて落ち着く。
身長のわりにその大きな背中は
私を優しく包み込んでくれた。
「侑李…っありがとう…。私侑李がいなかったら…っ」
侑李は抱きしめる力を緩めて、
私を見る。
「そうでしょ?A、僕がいないとだめなんだよ。」
「本当、私侑李がいなかったら、何も出来ないね…っ。
つらいよ侑李…わたしいつまでこんなこと繰り返すんだろっ…。」
そう聞いてみると、
侑李は私の顔を両手のひらでグイッと上げて
優しくキスをした。
…えっ?
いまなにが起こっているの?
私、侑李にキスされてる。
ゆっくり顔が離れて、
侑李の長い睫毛が揺れた。
目が合うと、侑李は真剣な顔で
「俺にしときなよ。」
そう言って、その綺麗な顔が近づいた。
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作者名:ano | 作成日時:2021年5月23日 9時