部屋の隅のホコリ的なアレ【d!】 (ページ47)

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涙を拭って上を見上げて【sha】※パロページ47

ウマ息子シャオロンくんとWRAファイナルズ長距離決勝
(短距離でもいいなって思ったんですけど、個人的に追込ステイヤーであってほしい！と思いました)(脚質はとても迷ったけど、最初は不人気だった今では漫画の主役になるほど……と思ったら追い込みでした)(たくさんの負けを乗り越えて這い上がってきて欲しい)
…………

『第4コーナーカーブ！』

『内から来るか外から来るか、最後の局面です！』

実況も解説も聞こえないくらいに歓声の上がる客席。その視線の先に、シャオロンはいた。

ただただ走ってきた。自分を見てくれて、応援してくれる誰かのために。
最初は人気は2桁台、結果は良くても人気がなかった。その理由は今でもわからんけど、今は違う。
WRAファイナルズ長距離決勝、1番人気。調子は絶好調。負ける要素がないって言うても過言ではないくらい絶好調。にも関わらずシャオロンはどこか上の空で、トレーナーや一緒に走るウマ息子たちにも心配されてしまった。いや、きっと心配だけじゃない。『こいつになら勝てる』と、思われてしまった。
昔は負けても気にならなかった。楽しければそれで良かった。でも今は、勝ちたい理由が明確にある。

ファンのため、家族のため、仲間のため、そして他ならない、今まで俺を1番近くで支えてくれたトレーナーのために。

『さぁ最終コーナーを曲がって最後の直線へ入った！まだ3馬身以上の差があるぞ、ここからとらえることができるのか！』

『先頭は1番コネシマ！200を通過！このまま行ってしまうのか！』

大丈夫、まだ足は残っとる。
走れ、勝つんやろ、俺。

『おおっとここで大外から追い上げてきたのは五番シャオロン！凄い末脚です！』

スパートをかけた瞬間、観客の視線が一気に向けられるのを肌で感じる。
1人、また1人、そして2人。4人を抜いてあとはコネシマだけ。すぐ後ろにつけて、あぁでも、コイツ速いなぁ、と思ってしまった。

「シャオロン！走れ！」

無理かも、なんて思った瞬間、聞こえるはずがないのにやけに聞こえる声。毎日毎日聞いた声。

「ッ、コネシマぁ！」

その声が、不思議と俺を奮い立たせるから。
もう1回勝負だ！とでも言うようなつもりで、もう1回スパートを掛けた。

…

『シャオロン、かわすか！？』

『並びかけてきたのはシャオロン！』

『シャオロンとコネシマ、もつれるようにゴールイン！』

…