死に囚われた人【第五人格】

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「あ、あの人」

「…？あの人は写真家のジョゼフさんなの！」

「やっぱり」

私あの人知ってるよ。
私が怪我した時の人。ヒビ割れた美形としか覚えてないんだけどなんかバグ？かなんかで失血死するまでの時間が10分の1になってた上失血死するとしばらく目覚めなくなる可能性があったとか。別にそれでもよかったんだけども。

「ジョゼフさーん！こんばんわ！私の事覚えてます？」

「…離れてくれないか」

「そんな事言わないで！ほら、ジョゼフさんがしつこく追いかけ回してたー、」

「被虐者。」

「そうそう！」

※彼女は酔っています。
嘘です酔ってませーん！いやね、ダル絡みしてみようと思って。何故か。ん？男が怖いんじゃないのかって？
だってこの人も死んでるでしょ？人間は生きてるものだよ。だからこの人は人間であり人間じゃない。
今は座ってたジョゼフさんの背中にどーんってやった訳だが全く動じなくてビビった。よろけるとかしろよ！！！

「…？もしかしてジョゼフさん、お酒飲めない？」

ふと気になったのはジョゼフさんの手にあるグラスの中身。正確に言うとその匂い。
ワインだと思ってたけど、アルコール特有のあの匂いがなくて、葡萄の匂い。
「やめないか」という声を無視して手に持ったグラスをするりと抜きとる。そして一口。
リッパーとジョゼフさんの焦ったような声が聞こえたけど、やっぱりこれ。

「葡萄ジューうｯ！？」

葡萄ジュース、と言いかけた途端にジョゼフさんによって口を塞がれた。

「ん゛ー！！！！」

わざわざ上体をひねってまで私の口を塞いだジョゼフさんはなんと口を抑えた反対の手で後頭部も抑えたのだ。

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