198.みんなが ページ48
そう思って話しかけ続けて、三日目には少しずつ会話ができるようになっていた。
ぽつりぽつりとだけど、返事をくれる。
今まではわたしを断る理由をばっさりと静かに告げる、という感じだったけど、考えて自分の思いが伝わるように、静かに返すというのが最近の主流だ。
たとえば、前は
「昨日のお夕飯どうでしたか？」
と聞いても無視されてたけど、今は静かに「…ごはんのとなりに置いてあるやつは美味しかったです」とか、何かしらの感想をくれる。
それがたまらなく嬉しかった。
「…ここに来て三日が経って、分かったことが、いくつかあります」
切り株に座って体育座る小夜さんが、5メートルほど離れた位置の木に寄りかかって足を伸ばすわたしに話しかけた。
前まではなるべく早く本丸に帰ってもらおうと必死だったけど、最近は小夜さんが満足するまでここにいるようにしている。
時が経つと自分から「…そろそろ戻った方がいいかな」と言ってくれるようになったから。
「わかったこと？」
「…はい。
僕は、誰かと話すのが得意じゃないということ。
そして、ここの人たちは、そんな僕に話しかけてくれて、笑顔を向けて、手を取ってくれます。
…でも、それが、僕には眩しすぎるということも」
そこで一度言葉を切ると、小夜さんは顔を小さくあげて上目遣いになるように不安にそうにこちらを見つめてきた。
「…面白い話じゃないんですけど、聞いてくれますか…？」
不安そうに聞いてくるその顔が、たった三日でも変化をしているんだということをより実感させる。
来たばかりの小夜さんは、人の感情を確かめたりはしなかった。
人に気を遣うということを、
人のことを考えるということを、
言葉ではなく行動で、意識的にではなく自然体として、あの子たちが教えていたのだろう。
「…ふふ。
小夜さんから"面白い話じゃないんですけど"って言葉が出た時点ですでに嬉しいんですよ。
来たばかりの小夜さんからは、そんな人を気遣うような言葉は出ませんでしたから。
こういうところは前田くんや薬研の影響ですかね？
いや、少しユーモアな感じが入ってたから愛染かな…？
本当に来た頃とは大違いです」
顔のにやけが止まらないほど、うれしい。
小夜さんがみんなの性格を吸収していっていることも。
みんなが誰かを明るい方向へ導けるような優しい心を持っている人ばかりだと実感できたことも。
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苺猫(プロフ) - 若葉さん» 若葉さん、コメントありがとうございます。かわいいなあこの子元気貰えるなあとニコニコしてた矢先にそれだったので、すごく辛かったのを覚えてます…。応援ありがとうございます！がんばります！ (2018年3月25日 12時) (
レス) id: 6cd959886b (このIDを非表示/違反報告)
苺猫(プロフ) - 弥勒さん» コメントありがとうございます！楽しみにしてくださって嬉しいです。頑張ります！ (2018年3月25日 12時) (レス) id: 6cd959886b (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 4、お疲れ様でした。初めてのゲームでキャラロストは結構しんどいですね。愛染君の描写がすごくリアルに書かれているのはそういう理由なのかと泣きたくなりました。これからも応援しております。 (2018年3月22日 11時) (レス) id: 3d0a97c40b (このIDを非表示/違反報告)
弥勒 - 体調に気を付けて課題終わらせて下さい。作品の更新も楽しみにしてますので(笑) (2018年3月11日 0時) (レス) id: 24182f5998 (このIDを非表示/違反報告)
苺猫(プロフ) - 葦原 さくらさん» コメントほど嬉しいものはないんですよ…！本当に嬉しいです、ありがとうございます！！夢小説にも関わらずあまり夢主ちゃん出てこないのでアレなのでは…と不安になっていたのでそう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます！これからも嵌っていきましょう！ (2018年2月21日 20時) (レス) id: 6cd959886b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺猫 | 作成日時：2017年11月6日 21時
