154.薬研 ページ4
「薬研。
薬研はほかのこと沢山やってくれてるし、料理は無理しないでいいからね。
それに正直面白すぎてお腹痛いし、指先震えるし集中出来ないから。
笑っちゃうから、ほんと、ほんとに、ふふっ、料理は私に任せてほしいです！
ありがとう！」
笑いながらもちゃんとお礼を言う。しかし、
「…悪ぃな、大将」
「え！？なんで全然！」
薬研がなぜか声を沈ませて謝るから、反射的に大きな声を上げてしまった。
こんなことで申し訳なくなる必要なんてなんにもないのに。
「薬研はいつも完璧にこなしてしまうから、少しでも出来ないことがあった方が私にも手伝えることはあるんだって安心するよ」
そうやって説明すれば、薬研は少しだけ雰囲気を明るくする。
…そういえば、国広と料理をしていた時も、こんなことを思ったなぁ。
「そうか？」
「うん！
それに、涙が出るほど笑えて感謝したいくらい！
薬研のおかげで今すっごく楽しめたし…。あ、もちろんわざと食材を無駄にしたりしたら怒るからね」
野菜を切っている為薬研を見ることは出来ないけど、気持ちは最大限に込めてもう1度ありがとうを言う。
数歩離れた場所で見ているはずの薬研は、しばらく黙った後、ぼそっと何かを呟いた。
本当に小さな、野菜を切る音にかき消されてしまうほどの声で。
「…そういうところだよなぁ」
「へ？何？ご、ごめん薬研聞こえなかった」
そう言うと、薬研は顔を上げて笑い、いつものハキハキとした、聞き取りやすくて心地の良い声で答えた。
「いやいや。大将のそういうところが、俺たち刀が大将を気に入る理由なんだろうなって思っただけさ」
「うぐっ…！薬研はすぐそうやってわたしを調子乗らせようとする」
…あまりの不意打ちに、頬が熱くなるのは仕方がないことだと思う。薬研はこういうことをなんの恥ずかしげもなく言うのだ。
短刀なのにやけに低音で、私よりも背は高いし、正直全く短刀と思えないから余計に照れてしまう。
「そんなつもりはないんだがな。
ま、とにかく俺はあんたのところに来れてよかったって顕現したばかりの身でひしひしと感じてる。
この通り料理の腕はからっきしだが、他のところで役に立つから期待しててくれ」
「…ん。ありがとう」
「ああ」
そう言って、薬研は厨から出ていった。
…たぶんあの刀は、顕現したいろんな本丸で審神者さんの心をぶっ刺して回ってるんだろうと思う。
本当に侮れない人である。
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苺猫(プロフ) - 若葉さん» 若葉さん、コメントありがとうございます。かわいいなあこの子元気貰えるなあとニコニコしてた矢先にそれだったので、すごく辛かったのを覚えてます…。応援ありがとうございます！がんばります！ (2018年3月25日 12時) (
レス) id: 6cd959886b (このIDを非表示/違反報告)
苺猫(プロフ) - 弥勒さん» コメントありがとうございます！楽しみにしてくださって嬉しいです。頑張ります！ (2018年3月25日 12時) (レス) id: 6cd959886b (このIDを非表示/違反報告)
若葉(プロフ) - 4、お疲れ様でした。初めてのゲームでキャラロストは結構しんどいですね。愛染君の描写がすごくリアルに書かれているのはそういう理由なのかと泣きたくなりました。これからも応援しております。 (2018年3月22日 11時) (レス) id: 3d0a97c40b (このIDを非表示/違反報告)
弥勒 - 体調に気を付けて課題終わらせて下さい。作品の更新も楽しみにしてますので(笑) (2018年3月11日 0時) (レス) id: 24182f5998 (このIDを非表示/違反報告)
苺猫(プロフ) - 葦原 さくらさん» コメントほど嬉しいものはないんですよ…！本当に嬉しいです、ありがとうございます！！夢小説にも関わらずあまり夢主ちゃん出てこないのでアレなのでは…と不安になっていたのでそう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます！これからも嵌っていきましょう！ (2018年2月21日 20時) (レス) id: 6cd959886b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苺猫 | 作成日時：2017年11月6日 21時
