【とうらぶ】０から始める刀剣乱舞

47.山姥切国広side ページ47

ｰｰｰｰｰさっきから様子がおかしいとは思っていた。


あんなに走り回っていた軽い足取りは重く、引きずるようなものになっていたし

べちゃくちゃと話すうるさい口は静かになっていた。


でも、そこまで気にしていなくて。


重い荷物に足が取られているんだろう、疲れているから話す体力も歩くことに回したいんだ、そう考えていた。


なのに。


本丸に近づくにつれ、不穏な空気が渦巻いて。その感じに眉をしかめれば、あんたは『やっぱり』と言う。


何がやっぱりなんだ？あんたにはこの空気が分かるのか。


俺よりもっと前に気付いていた…というのか。


戦を経験したこともないような娘が？

…どういうことなのか、さっぱり分からない。



はぁ、と溜め息をつく音が聞こえる。溜息をつきたいのはこっちだ。一体何が起こっている。


横を見れば少し蒼白い、額に汗を浮かべたあんたが腰を曲げようとしていた。


やっぱり体力がないのか。ったく、だから買いすぎるなとｰｰｰｰｰｰ





そこまで考えたところで、息がとまった。

呼吸が出来なくなる。思考回路が遮断し、


…なにも考えられなくなった。



あんたが腰を屈めたことで俺の視界に入った、あんたの背中が。


赤く、赤く。


斜めに斬りつけられたような跡があって。


…頭が一気に真っ白になる。


脳内の警報がガンガンと鳴る。


なんで、なんで、いつの間に。


敵に攻撃されている気配なんてなかった。


ならば、何故。


何が何だかわからず、混乱した頭で、もどかしくてイライラが募る。




………それなのに、あんたが、あまりにも強い思いを宿した目で前を見つめるから。


(クソッ)


…冷静にならなければいけないと、あんたの声が訴えているような気がした。


今はこいつの声に耳を傾けなければ。





…一緒に来いと行ったのは、戻ってきた時にあんたがいなくなっていたらどうしたらいいかわからないからだ。


もし、もっとボロボロになって倒れていたら、どうすればいいかわからなくなるからだ。


今みたいに、目を離している隙に、なんてことあってたまるか。


だったら。



危険だろうがなんだろうが、俺の側に置きたかった。





………目を離すことが、ひどく恐ろしいと感じた。

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