41.いざ万屋へ ページ41
「じゃあ、しゅっぱーつ!」
「もう少し静かに出ることは出来ないのか、あんたは」
支度を終えた私たちは、本丸中を動き回って必要なもののメモを取り、今から万屋に向かうところだ。
拳をあげて大きく1歩を進める私と、呆れ顔をしながらも後ろをついてきてくれる山姥切さん。
ついでに私は万屋への行き方なんてさっぱり分からないわけですが。
土だけの舗装されてない道や鉄などの人工的なものを感じさせない木々などに興奮を抑えることが出来ず、小走りで違う道へ行こうとしては山姥切さんに襟をつままれ、引っ張り戻されてはなんとか万屋への道を進んでいる。
子供っぽいとは自覚してるんだけど、すぐに走ってしまうのは私の癖だし、こんな道初めてで。
楽しくて仕方がない。
現世にもこんな道、存在しているのだろうか。
母は、人口集中を防ぐため地方にも色々な建物が建てられ、二百年前に比べるとかなり田舎が減ったと言っていた。
むしろ、私たちのいう田舎は二百年前の地方都市と変わらないレベルらしい、とも。
母がすぐ二百年前と比べるのは母が二百年前の時代が好きだから。
その影響で、私も二百年前の漫画やアニメなどに詳しい。
むしろ、現世のアニメとかの方が分からない。
時代遅れもいいところだけど、二百年前の時代は本当に楽しいものに満ち溢れていると思う。
…そんなこんなで歩を進めていると、前に京都の清水寺前を想像させるような日本らしい店がズラ〜っと並んでいた。
修学旅行でしか見たことのないその風景に、ワクワクしてしまう。
「や、山姥切さん!」
「分かってる、分かってるから、勝手に行こうとしないでくれ」
またも走り出しそうになる私の襟を山姥切さんが掴んだ。
ぐえ、と声を上げて山姥切さんの横へ引きずり戻される。
扱いが雑!!
「うぐぅ、ぐるしい」
「あんたが走り出そうとするからだろう。次やったら俵担ぎにするからな」
「そしたら自分で選びに行けないじゃないですか」
「いやなら大人しくしてろ」
そういう山姥切さんに、うっ…とどもり言い返すことが出来ない。
というか俵担ぎって。女の子にするそれじゃないし、さっきまで正装なんだから雑に使うなと言っていた人の言うことではないと思う。
そんな担ぎ方されたら着物にしわがつくのは目に見えてるし、絶対お腹苦しいし。
(絶対にごめんだな…)
そう思いながら、私は大人しく山姥切さんと並んで店内へと足を踏み入れたのだった。
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苺猫(プロフ) - れむさん» れむさんこんにちは!コメントありがとうございます!!鶴丸わたしも大大大大大好きです〜!!!!格好よくて綺麗で楽しくて、でも頼りになってって感じです!笑ありがとうございます。頑張ります! (2018年3月25日 12時) (レス) id: 6cd959886b (このIDを非表示/違反報告)
れむ - 鶴丸推しです!!鶴丸は、イタズラで有名ですがエピソードがとっても面白かったです!更新楽しみにしています!! (2018年2月10日 19時) (レス) id: aa8e748634 (このIDを非表示/違反報告)
苺猫(プロフ) - 翡翠さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると本当に嬉しいです…!更新、頑張ります! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 031909d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - はじめまして、お話読ませていただきましたが、すごくおもしろいです。更新楽しみにしていますので、がんばってください。応援しています。 (2017年1月22日 14時) (レス) id: 16da82c0a8 (このIDを非表示/違反報告)
苺猫(プロフ) - 月下の堕天使さん» まんばちゃん!かわいいですよね!大好きです…!少しでも彼の魅力を引き出せているなら良かったです…!なんだかんだ優しいまんばくんです。ありがとうございます! (2017年1月22日 8時) (レス) id: 031909d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:苺猫 | 作成日時:2016年12月21日 20時