検索窓
今日:5 hit、昨日:33 hit、合計:469,288 hit

22.台所 ページ22

沈黙が続く。

黙々と作業をこなしていると、山姥切さんがボソッと声を発した。


「…台所の語源は、平安時代の貴族家で台所を示した台盤所だとされている。

台盤所は、台盤と言う食物を盛った盤…

アンタの時代でいう皿をのせる台を置き、配膳する部屋だったそうだ」

「へ?」


その話、まだ続けてくれるの!?


というか、今までの印象から長くは喋らないだろうと思っていた山姥切さんがたくさん話し出したのできょとんとしてしまう。

しかし山姥切さんはこちらなど全く気にせず、野菜を洗いながら話し続けてた。


「実際に調理を行う部屋は別棟にあり、そこのことは大炊殿や厨と言っていたらしい。

これからくる刀たちは厨と呼ぶ者が多いんじゃないか?

ああ、確か他にも勝手という呼び方があったな。

少し女人を卑下した言葉のようにも聞こえるからアンタの時代には相応しくないだろうが……………。

なんだ」

「へ?あ…いえ、少し意外だなぁって」


何がとでも言うように眉を顰める山姥切さん。

その視線を振り払って、私は手元に目線を移して野菜を切った。


「そっかぁ…。くりやって呼ぶのか。

なんか格好いいなぁ。

これからは私もそう呼ぼうかな」


トン、トン、と一定のリズムで切っていく。

見ていても答えはないと分かったのか、再び山姥切さんも野菜を洗い始める。

ジャーと水が流れる音と、野菜を切る音が心地よく混ざり合った。


(…『結構たくさん話すんですね』なんて言ったら、もう二度と口聞いてくれなそうだよなあ)


そう思ってくすりと笑う。


そんな私の横顔を、山姥切さんは不思議そうに見つめていた。





(私の独り言なんて聞いてないと思っていたから、あなたが気にしてくれたことが何よりも嬉しい、とか)

23.お米を研ぐ→←21.キッチン



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (262 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
398人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , 山姥切国広
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

苺猫(プロフ) - れむさん» れむさんこんにちは!コメントありがとうございます!!鶴丸わたしも大大大大大好きです〜!!!!格好よくて綺麗で楽しくて、でも頼りになってって感じです!笑ありがとうございます。頑張ります! (2018年3月25日 12時) (レス) id: 6cd959886b (このIDを非表示/違反報告)
れむ - 鶴丸推しです!!鶴丸は、イタズラで有名ですがエピソードがとっても面白かったです!更新楽しみにしています!! (2018年2月10日 19時) (レス) id: aa8e748634 (このIDを非表示/違反報告)
苺猫(プロフ) - 翡翠さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると本当に嬉しいです…!更新、頑張ります! (2017年1月22日 16時) (レス) id: 031909d4b4 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - はじめまして、お話読ませていただきましたが、すごくおもしろいです。更新楽しみにしていますので、がんばってください。応援しています。 (2017年1月22日 14時) (レス) id: 16da82c0a8 (このIDを非表示/違反報告)
苺猫(プロフ) - 月下の堕天使さん» まんばちゃん!かわいいですよね!大好きです…!少しでも彼の魅力を引き出せているなら良かったです…!なんだかんだ優しいまんばくんです。ありがとうございます! (2017年1月22日 8時) (レス) id: 031909d4b4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:苺猫 | 作成日時:2016年12月21日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。