じゅうろく。 ページ17
業side
業「ったく、どこ行ったんだよ」
Aを探し続けること30分。
俺がキスした後、出て行ったらしい。詩央里と家の前で別れてから気づいた。
どんなに探してもいない。
傘は持ってきていない。家を飛び出したから。
スマホを取り出す。
業「律、律、聞こえる？」
慌ててスマホに叫ぶ。モバイル律のアプリが起動し。律が画面に姿を表す。
業「律、Aの居場所を探して」
数十秒で律が見つけた。
律「現在、秒速0.5Mで椚ヶ丘駅前を歩行中です」
椚ヶ丘駅…Aの家の最寄り駅だ。
ここからダッシュなら10分だ。
律「業さんが秒速2Mで走るのなら余裕で追いつきます」
俺は即走り出した。椚ヶ丘駅へ。
Aside
体が冷えて行く。シャツは濡れて、髪の毛もびしょ濡れだ。
私、どうなっちゃったんだろ。
カルマの事、好きで好きでたまらなかったのに、カルマの事を応援できる私がおかしい。
自分の事をふっと鼻で笑うと駅の前を通過した。
駅前で戯れているカップルを見ては、カルマと重ねてしまう。
家に帰ったら、録画しているバラエティー番組でも見よう。
音楽も聴いてストレス発散しよう。
面倒くさいこと、全部忘れよう。
カルマの家に荷物は置いてきちゃったけど、もういいの。
別にカルマとはなんの関係もないんだから。
でも、胸が痛い。自分で締め付けているみたいな。
後ろを振り向くと赤い髪の毛が見える。カルマだ。あと数メートル。
嬉しかった反面、心にも無いことをいってしまう。
私「こないでよ、カルマっ！」
私「もう、カルマとは何の関係もないんだから！」
前を見て走る。
雨で濡れたスカートが冷たい。
手を握られる。
業「なんで俺から逃げるの？」
私「だって、カルマには詩央里ちゃんがいるから」
私は逃げる。自分に都合が悪い事は逃げているのは分かってる。
弱虫なのも分かっている。
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作者名：妄想girl夏実☆ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mousounatumi/
作成日時：2016年6月6日 20時
