37、＊ ページ23
伊｢俺は、この人達を殺せなかった｣
はたまた冷静に戻る伊野ちゃんが、怖くなった。
何も感じないんじゃないかって。
これから先何を聞いても、動じないんじゃないかって。
松｢……と、言うと？｣
伊｢俺が、殺せないって拒んだんです。そしたら……ｯ｣
山｢伊野ちゃん？｣
また頭を掴んで、頭痛に苦しんでいるのかな。
なんだろう。
伊野ちゃんが、信じられないんだ。
伊野ちゃんや涼介は、頭痛が酷くなる度、新たな記憶を思い出す。
また今日も、そうして思い出すのかな。
伊｢お前が殺せないなら俺が殺るって……ﾊｧﾊｧ……ｯ｣
櫻｢それは誰が？｣
伊｢…確か……会長？｣
｢会長！？｣
会長って、怪盗グレーを裏で操ってる奴だ。
伊野ちゃんとの関係が？
あの誘拐事件の犯人は、その会長だと言うこともあり得るよな。
伊｢だから代わりに、実の親を殺せって……あ"っ｣
｢伊野ちゃん！｣
伊｢ごめん……ごめん、二人とも。ごめん……ごめんね……｣
山｢一旦、落ち着こ！｣
過呼吸になってきてる。
また倒れちゃったら今度こそ話を聞けない可能性だって出てくるよな。
それは避けたい。
事件の解決が遅れたら、俺らより先に伊野ちゃんが壊れちゃうよ。
｢伊野ちゃん、大丈夫だから。伊野ちゃんの所為じゃないから！｣
伊｢でも……｣
山｢もっと、教えてよ｣
涼介？
山｢もっと教えてくれたら、俺らは怒りもしないし、恨みもしない｣
松｢山田君？｣
山｢伊野ちゃんは、俺らよりも苦しんでんだよ。俺らに謝らなくたって良いんだよ。だから、その辛い記憶、全部吐き出して？｣
こうやって人に優しく対応できるところ、いつも凄いって思ってしまう。
自分には絶対に出来ないんだって。
気後れして、羨んで。
一言では表せないけど
嫉妬＿＿
俺には、こう思えるんだ。
山｢ねぇ、伊野ちゃん。君のご両親はさ、どうなったの？｣
伊｢……殺したよ｣
･
俺が＿＿＿
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作者名：柊 | 作成日時：2017年11月18日 23時
