36、＊ ページ15
Ｋside
Ｏ｢ねぇ聞いてる？｣
｢聞いてる……｣
Ｏ｢眠いなら一人にしよっか？｣
Ｏが席を立つ音がした。
待って、行かないで。
そんな声は洩れることなく、
Ｏ｢Ｋ？｣
ただＯの手をギリで掴んだだけ。
｢あ、ごめん｣
Ｏ｢いきなり起きたからビックリしたじゃん。一人だと不安？｣
｢そんなこと、無いけど……｣
不安、だなんて言えないよ。
だって怪盗だよ？
世に蔓延っている怪盗グレーの一人がそんな弱っちい男だったら、俺だって残念に思う。
Ｏ｢はい、強がらないの｣
｢ほんとだし｣
Ｏ｢なら俺を止めた理由は？｣
｢それ、は｣
Ｏがこんなに迫ってくる男だとは知らなかった。
３年間一緒に暮らしてた筈なんだけど。
Ｏ｢ほらやっぱり。いるよ、ずっといるから｣
でもやっぱり
｢別に─｣
Ｏ｢強がんなって！｣
Ｏが憤慨している。
それだけで、体が震えた。
Ｏ｢少しくらい、俺らに甘えて？｣
Ｏはベッドに踞る俺の隣にちょこんと乗り、俺に話し掛けてくれた。
反応の薄い俺に、諦めることなく何度も。
Ｏ｢Ｋは、Ｙのこと自分の所為だと思い込んでる？｣
｢ふぇ？｣
Ｏ｢ｸｽｸｽｯ…久し振りだよ、その返答。俺は、俺の所為なんじゃないかって思ってる｣
あの時止めていれば、Ｃもニノも苦しまなかった筈だったって＿
Ｏ｢だからＫも─プルルルルッ｣
誰の携帯？
若しくは、任務？
Ｏ｢俺が出ていい？｣
｢…うん｣
『○○通り沿いの△△から盗め』
いつもそれしか言ってくれないけど、俺が調べなきゃいけないって分かってるの？
Ｏ｢俺、邪魔しない方がいい？｣
初めてだった。
｢いや………｣
自分のありのままを。
｢……いて｣
甘えたい、という感情を。
Ｏ｢うん！｣
初めて伝えられた。
また１つ、絆が深まったのかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊 | 作成日時：2017年11月18日 23時
