青とフードⅢ (ページ41)

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33、被害者ページ41

山田side

起きたのは午後３時。

あれから一時間しか経っていなかった。

伊野ちゃんがi622だってのは知っていたけど。

でも、俺をr509だって認識したことはまだなかった。

有｢あれ？涼介、伊野ちゃん見なかった？｣

｢はぁ？伊野ちゃんなら─｣

まだベッドの方にって続けようとしたら

｢いない｣

あんなに取り乱していたのが嘘のようにひっそりとしていた。

有｢執事(？)の人にも聞いたんだけど、玄関を開いた人はいなかったし、まず一階には誰も降りてきていないって｣

｢じゃあ、伊野ちゃんは…………何処に？｣

有｢俺、10分前に起きたんだ。その時はまだ眠ってた。だからもう少し寝ようとしたら……ごめん｣

｢大貴が謝ることじゃないけど｣

何処に行ったんだ？

便所なら一階だから誰かには見られている筈だし。

大貴は執事に聞いてから自分でも全部の部屋を探したと言っていたし。

プルルルルップルルルルッ

聞こえたのは、俺のスマホからの着信音。

櫻『山田君、早急に署に来てほしいんだ。一緒なら、有岡君も』

｢どうかしたんですか？｣

松『３年前の連続誘拐事件の事だよ。被害者の９人、君達以外の７人を特定することができた』

｢分かりました、有岡と向かいます｣

櫻『それと、もう１つ。グレーの事についても話があるんだ』

自然と大貴を有岡呼びにしていたこともあってか、大貴も警察関連だと勘づいたみたいだ。

有｢直ぐ出る？｣

｢あぁ。２つ、話したいことがあるって｣

有｢伊野ちゃんも心配だけど…………もう子供じゃないし。なんかあったら連絡してくるでしょ｣

この余裕が、後の悪い状況を生んでしまうとも知らずに。