青とフードⅢ (ページ19)

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Ｋside

俺が会長のところに来たのは小１の時だったと思う。

あまり覚えてないけど、素質がある、とか言われた覚えがある。

何を言ってるのか、この人は誰なのか。

何も分からないままさっきの、真っ白な部屋に転がされた。

だから、親の顔なんて忘れてる。

覚えていたって、役立たない。

パソコンを前に座らされて、ここのルール、俺のこれからの名前、それら全部。

ニノが教えてくれた。

優しかったのは彼だけだったから

俺は彼になついたんだと思う。

彼も、俺を可愛がってくれた。

その証拠に、ハッキングの合間にも得意なピアノを教えてくれて

俺は弾けなかったけど、ギターも演奏してくれた。

二｢寝れませんか？｣

｢…ねぇ、ニノはどうしてここにいるの？逃げようとか、思わない？｣

押し黙った。

やっぱり聞いちゃいけなかったんだって。

そう思ったら申し訳なくて。

二｢私も買われた身ですからね。Ｋに話せるようなことは何も。ですが、友人を幸せにしたかったら、と条件を課せられました｣

｢友人を、助けるために？｣

二｢ええ…着きました。立てますか？｣

痛いのを我慢して起き上がろうとしたけど、無理かも。

情けないな、俺。

二｢仕方ないですね。恥ずかしくてもジタバタしないでくださいよ？｣

｢わぁーい｣

クスッと笑って軽々、本当に軽々と持ち上げてくれる。

その筋力、俺にもほしー。

Ｙ｢お前、誰だよ｣

ま、そう警戒しないでよ。

確かにマスク着けてるし、おまけに髪の毛で目元が見えないけど。

俺をソファにゆっくりと下ろしてくれた。

前のＹとは違う、別の安心感が俺を包み込んでくれる。

Ｔ｢ごめん遅くなった！…って、誰そいつ｣

皆同じ反応、笑。

二｢申し遅れました。えっと名前…は…｣

本名教えたらバレちゃうもんね、自分の正体。

どうしよっかなー。

｢じゃ、テキトーにニノで｣

Ｃ｢ニノっ…て…｣

二｢ニノって…苦笑｣

だって、思い付かなかったし、しょうがないって。