青とフードⅢ (ページ18)

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Ｋside

俺は今、何処にいる？

真っ白な部屋で一人、痛みに耐えていた。

会長から久し振りに依頼を貰ったと思ったらこの様だ。

『お前らの中でいざこざを起こすから頼られなくなる』

頼られなくていい。

早く解放してほしい。

『お前らが生きられるのはこの俺が生活を支えてるからだろ。恩返しも何もしないのか？』

親を殺させて自力で生きられなくさせたのは？

食糧を与えず逃げられなくしたのは？

全部お前だ。

『また発作か。それで倒れたのは今日で何回目だ？月に何度倒れれば気が済む。使い物にならなければこれでは済まないからな』

発作を起こす度に蹴られ、その度に発作を起こし、また蹴られ。

どれくらい繰り返せばいい？

あと何日、何週間、何ヵ月

あと何年、耐えれば許される？

お願い。誰か助けてよ。

二｢Ｋ！大丈夫ですか！？｣

二宮和也。

俺の素顔を見たことがあるのは会長と、

この男だけ。

この業界で頼れるのは彼だけなんじゃないかって思ったけど。

でも助けてほしいときにはいつもいない。

二｢最近会ってませんでしたね。また随分と細くなって…。今日こそは送りましょう｣

｢ううん。大丈夫だから。ニノも俺に構ってたら会長
に殺られちゃうよ｣

送る、と言われるのは日常茶飯事。

迷惑ばかり掛けていられない。

二｢いえ、今日は会長からのお許しが出ました。貴方のお仲間さんにも私の事を紹介しとけとの命を受けた次第です｣

会長が…？

ニノがどうやってこの部屋に入ったのかは分からない。

内側からだと真っ白で扉が見えないから。

ニノは手錠を取って、俺を軽々と持ち上げた。

二｢フード、ちゃんと被っておいて下さいね｣

壁の一部に手を触れた。

直ぐに扉が現れ暗号を入力し、外の空気を吸うことが許された。

二｢後部座席に寝てて下さい。10分もすれば着きますから｣

｢うん、ありがとう｣

ニノは、昔から敬語だった。

10才ほど年下の俺にまで敬語を使ってきて、初めは馬鹿にされてるのかと思ってたんだから。

二｢出しますね。揺れると思いますが、その時だけは痛みに耐えてください｣

俺の返事も聞かないうちに発進した。

ニノは繊細だ。

そして器用。

だから車に乗っていても、殆どと言っていいほど揺れを感じない。