12、涼介と大貴 ページ43
なんか最近早く起きるんだよねー。
良い傾向なんだけど調子狂うっていうか。
そんなこんなで学校に一番乗り!……ではなかった。
おかしーなー。
ニノくんに因ると伊野ちゃんは二、三日出禁にするっとか言ってた筈なんだけど。
教室の隅っこに伊野ちゃんいるよ?
「ニノくんに出禁にされたんじゃないの?」
「そうだよ。でも抜け出してきた」
「ニノくん怒ると怖いらしいけど?」
「こんな体にした人に言われたくなーい!」
「あ、それは本当にごめん」
ま、解決したし良かったんだけどさ。
伊野ちゃんありきの解決だからなー。
感謝も謝罪もしないと。
てことで、ずっと話してちらほらクラスメイトがやって来た。
「有岡最近早くね?」
「俺の方が遅いとかあり得ねー」
色々とからかわれてます。←
ホームルームが始まろうとしていたとき、珍しく朝の放送が校内に響き渡った。
『おはようございます生徒の皆さん』
この声は、ニノくん。
隣の伊野ちゃんは目を見開いて固まっている。
『高1A組伊野尾慧君。1分以内に保健室まで来なさい。来ないと…
分かっていますよね?』
最後だけ声色が低くてクラス中もえっ?って顔してる。
言い終わると同時にブチッって切られたから相当怒ってるのは嫌でも分かるけど。
伊野ちゃんはいっこうに動こうとしない。
何されるんだか知らないけど怖そー。
1分経ったのか教室がざわざわしてきた。
何するの?こっちの方が怖いんだけど。
すると。
ガラッ。
扉が開き、ニノくんが早足に伊野ちゃんに近づく。
「よし、行こっか」
え、意外と普通。
「嫌です」
なんで抵抗しちゃうわけ!?
「じゃあこうしまーす」
ニノくんは伊野ちゃんの右腕を取り、少し力を入れた。
途端に歪む彼の顔。
ニノくんが引っ張ってもまだ力が残ってるみたいで椅子から立ち上がろうともしない。
「まだ大丈夫なの?」
次の手段なのか耳元に口を当てて囁いた。
「えっ」
気が緩んだ一瞬の隙に腕を力強く握った。
「あっ!」
痛かったのかされるがままになる伊野ちゃん。
涼しい顔で教室を去るニノくん。
この二人面白すぎ。
170人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柊 | 作成日時:2017年9月18日 15時