青とフード (ページ36)

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あのー。痛々しい声が響き渡ってるんですがー。

伊野ちゃん大丈夫かな。

そっと屋上へと続く扉を開けると、そこには腹を蹴られながら悲鳴をあげている伊野ちゃんの姿が。

そして、カッターで右腕を無造作に切る『あいつ』の影も。

血がダラダラと伊野ちゃんの腕を伝う。

見ていられなくて乗り込もうとすると、肩を後ろから捕まれた。

｢何？｣

知｢伊野ちゃんはたぶん、こんなの平気だと思う。だってほら、口元が笑ってるよ？｣

伊野ちゃんを見ると、はっきりと俺に目を合わせて口元だけ笑っていた。

あれが涼介の時と同じ様に『あいつ』にも悪影響を及ぼしていると容易に予想できる。

視線を『あいつ』に戻すと抵抗が出来なくなった伊野ちゃんに馬乗りになり、フードを外そうとしていた。

それだけは避けたくて、俺は咄嗟に扉を開けてその手を振り払った。

主犯の『あいつ』は俺に驚き、他の３人は先生を従えた知念を罰が悪そうに見つめている。

そして伊野ちゃんはと言うと、先生の内に紛れていたニノくんに横抱きにされ、先に屋上を去っていた。