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翌日、学校に伊野ちゃんが来てくれたんだ!
青いフードはご健在で。
(思ったんだけどね、Kと伊野ちゃんが行方不明になったのって同日だったよね?)
「いーのちゃん♪」
「テンション上がってるでしょwあ、そういえばこんなものを通りすがりの人に渡されたんだけどー」
グレーの封筒を手に持っていた。
「これって!!!」
「これ、なんなの?」
「まだ開けてないよね?」
しっかりと首を縦に振った伊野ちゃん。
「涼介も呼ぼう─」
「嫌だよ。一回自分だけで見てみたい」
あ、ごめん。
許してくれたけどやっぱり自分で見たいらしくて背を向けられた。
読んでいるうちに肩が震えてきているのが分かる。
「どうしたの?」
そして今学校に来た知念も
「え、大貴。伊野ちゃんになんかした?」
「いや、後で説明するよ」
俺のせいにされた気がしたけど、それはスルーしてあげることにして。
伊野ちゃんが俺に封筒も一緒に押し付けて教室から出ていった。
パーカーの奥から赤く光る目が見えた。
それからはどうすれば良いのか考えていて授業に集中出来ずにいた。
あれから伊野ちゃんは帰ってこないしさー。
昼休みだって前は知念と3人で食べてたのに、見当たらなくて結局2人で食べたんだよ?
放課後になって、ニノくんがいるであろう保健室に向かった。
「ニノく〜ん」
「しー!今伊野ちゃんがそっちで寝てるから」
「サボり?」
「自分ではそうだって言ってたけど、昼も食べないで寝てるからねー。なんかあった?」
俺はまだ読んでいないグレーの手紙だけを見せた。
「もしかして、怪盗グレー?」
「だと思う」
「中身確認したら?」
「え?」
あのニノくんがそんなことを言うとは思わなかった。
人の手紙を勝手に見るなんて、犯罪に成り得る。
「伊野尾君が震えてたんだよ?前みたいに浅い呼吸で。その手紙の内容を把握しとけば伊野尾君を少しでも楽にさせてあげられる」
嫌だったら良いけどね?
優しく微笑んでくれたニノくん。
その笑顔、他の人から貰ったことがない。
「じゃあ、一緒に見てもらっても?」
「全然良いけど」
ペラッ
紙を開く。
そこには─
『お前に価値なんて無い。
お前を育てたのは誰だと思ってる?
高木雄也と八乙女光に危害を加えたくなければ戻って来るんだ
i622よ。』
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作者名:柊 | 作成日時:2017年9月18日 15時