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辺りがシーンとなる。
俺、変なこと言ったっけ?
岡「大ちゃん。それ言っちゃ駄目」
伊「いいよ。答える…この目は本物。母さんがハーフでさー。で、聞きたいのはそこじゃないんでしょ?俺が怪盗グレーかって事でしょ?」
岡「それは─」
伊「違うよ。俺は怪盗とか、そんなんじゃない。あの人はちょっと闇に入ってる知り合い。もういいよね?かえ」
山「最後に、一つだけ」
涼介が敵視した目で伊野ちゃんを見つめた。
涼介の周りからは殺気しか感じられない筈なのに、伊野ちゃんは怖がる様子もない。
伊「うん、いいよ」
涼「あの喘息は…本物?」
知念が目を丸くして涼介を振り返り、それから肩を落として呟いた。
知「でも明らかに、本物だった」
涼「それは分からないだろ。少しでも本当のことを知りたいんだよ。謎だらけで、訳分かんねぇ」
知「でも─」
伊「どっちでも良いよね。正直、俺は君のことが分からないよ。どうしてそんなに俺を疑っているのか。怪盗グレーとそんなに似てるかなー?」
今、絶対涼介の何かがキレた。
涼介は伊野ちゃんの胸ぐらを掴み、壁に押し付けた。
山「似てるよ!話し方もその声も。その容姿、そのフード、全部が似すぎてんだよ!」
今までにない程早口で喋り続ける涼介は、もう元の友ではなかった。
伊野ちゃんもあのか細い体を押し付けられて痛いのか顔をしかめている。
しかし明らかに口元は笑っていて、涼介のそれをぶり返させるばかりだ。
岡「もうやめなよ!」
止めに入ろうとした圭人を振り払い、再度伊野ちゃんに顔を合わせる。
薮「おい山田!」
涼介の体の動きがピタリと停止した。
薮が涼介を山田と言うのを初めて聞いた気がする。
相当怒っているのは嫌でも分かる。
薮「ここでやるなよ。涼介、伊野ちゃんがグレーじゃなかったら立派な犯罪だからな。そして伊野ちゃん。もう涼介を挑発しないでくれ」
伊野ちゃんは涼介から離れ壁に凭れながら、しっかりと涼介を上目遣いで睨んでいる。
伊野ちゃんは俺の部屋から出ていった。
俺の体は勝手に動いた。
玄関で伊野ちゃんの青い目と目が合う。
直ぐに目を反らされたけど。
「伊野ちゃ」
伊「俺を助けてくれてありがと。運んでくれて、知ろうとしてくれてありがとう。明日は学校行かないと思うから」
今度は俺の目を真剣に見て
伊「バイバイ」
目を赤くして悲しそうに言ったんだ。
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作者名:柊 | 作成日時:2017年9月18日 15時