４、＊ ページ15
彼奴、誰だったんだ？
グレーに女がいるとは考えにくいが、まさかおネエ？
とも考えにくいし。
グレーを初めの犯行から調べ尽くしている父さんに聞こうかな。
トントントン
｢どうぞ｣
｢父さん。怪盗グレーについて聞きたいことがあるんだけど時間良いかな｣
｢あぁ。私も丁度お前に聞きたいことがあったんだ。お前から聞いてくれ｣
｢今日も事件があったよね。その際に男と女の声が交互に聞こえたけど、女がいるとは考えにくい？｣
｢グレーに女か？……可能性は極めて低いが、３年前にも一度二人の女の声が聞こえたとの報告があったらしい｣
３年前。
それは彼らが怪盗を始めた頃と一致する。
警察はまだ、彼らの年齢も分かっていない。
でもあの背丈からして高校生から二十歳前後というのは判断出来る。
高校生だとして、３年前は中学生になりたて位か。
ということは、俺と同じ年齢？
流石にそれは。
いや待てよ。もしそうだとすれば、俺らのクラスメイトまで疑ってしまう事になりかねない。
それだけは避けたいのに。
親友を信じきれない俺は何なんだろうな。
それを始めに考えてから約３年。
これは知念と喧嘩したとき、最後に吐き捨てるように言われたセリフ。
あの時彼は何を思っていたのか。
それが分かっていたなら、今もまだ苦しむことは無かったのかな。
部屋に戻り、ドアに挟まっていたグレーの封筒を見つけた。
グレーと聞くと、怪盗グレーの予感がしてくる。
部屋に入り封筒を開くと
『山田涼介様
また逢えることを楽しみにしております』
と書かれてあった。
また逢う？
何故俺を知っている？
何故俺の家が分かった？
この家にはセキュリティが掛かってあるから簡単には封筒を挟むなんて出来ない筈だ。
ハッキングされたか？
……だとしたら、まずい。
この家には時価30億円の俺は見たこともないお宝があるという噂だ。
噂だけど、グレーが狙いに来るとは思っていた。
｢山田涼介様。またお逢いすることが出来光栄です｣
緑のフードが俺に頭を下げる。
いつの間に降りてきたんだ？何処から入ってきた？俺に逢ってどうする？ここで捕まえられたら終わりだぞ？こいつらは何を考えている？
｢ま、そんなに考え込まないで｣
黄色が俺を宥めようとしている。
｢お前らの目的はなんだ｣
黄｢目的？……強いて言えば、盗まれた物を返すこと、だね｣
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作者名：柊 | 作成日時：2017年9月18日 15時
