十人十色でいいじゃない【男主】

履修 ページ22

阿部side



阿部「おはよー」


レッスン室へ到着すると
何かの資料を片手にパソコンと向き合う
俊介の姿を見つけた


誰が来るとすぐに反応するしゅんが
俺が入ってきたことも気づかずに
資料と睨み合っているので少しだけ気になった


作曲とかの仕事は自宅でやるタイプだから
仕事ではないだろう


出来るだけ邪魔をしないようにそっと近寄ると
ちらっと見えた資料には"履修ガイド"の文字


もうそんな時期かと
自分もやったことがあるその行動が
懐かしく感じた


『やっぱりあべちゃんだ！
おはよう、気づかなくてごめんね』


阿部「おはよう、それは大丈夫だけど
俺の方こそ邪魔した？
ごめんね」


『ううん、邪魔なんてしてないよ
履修どうしようか考えてたら煮詰まっちゃって…
一旦考えるの休憩しようかなって思って』


阿部「早めに決めた方が良いけど
考えすぎても良くないしね」


『後ろから懐かしいなって声がして
振り返ったらあべちゃんがいたんだ』


阿部「えっ、俺声出してた…？」


今更そんなこと気にするような間柄ではないけど
無意識に口にしていたらしく
しゅんに聞かれていたみたい


『あべちゃんは履修どうしてた？』


阿部「俺？大学違うから参考になるかわかんないけど
取れる時に取っておくスタンスだったかな」


『やっぱりお仕事とか考えると取れる分は
取っちゃった方がいいよね…
一応お仕事で休んだ分の授業は
配慮してくれるみたいなんだけど…』


学びたいことと仕事が両方あることは
嬉しいことなんだけどね


『必修科目も結構あって
第二外国語とか学科必修科目とか』


阿部「第二外国語もか
俺の所は必修じゃなかったな

あ、フランス語とかドイツ語とかあるじゃん
しゅんは？まだ決めてない？」


『中国語だよ』


阿部「中国語？
中国語だったら…」


『中国語やるの！
だって、大学で習ったらみんなで勉強する時に
教えてあげたり出来るかもでしょ？

そうしたら、ちょっとだけあべちゃんの負担が
軽くなるかなって』


阿部「え、俺の？」


『だってあべちゃんいつもみんなでやる時に
自分がわかってる所だったら教えてあげたりしてるから』


僕もしっかり中国語学んでみたいし
ちゃんとできたらしゅんくん先生もできるでしょ

なんて笑顔で言うしゅん
勉強は1番は自分の為にやってほしいけど
俺の為でもあるなんて嬉しいに決まってる


まだまだ幼いと思っていたしゅんが
すごく頼もしく感じた

一緒に先生できるといいなぁ



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