目が覚めたら恵ママになっていた件【伏黒甚爾】

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ああ、こんにちは、Aです。

パパ黒と同居を初めて2ヶ月がすぎ……

結論！分かっていたもののクズでした！なんでか足ほぼ治ったのに帰らないし！
…最初、ボロボロになって帰ってきたから服洗濯しようと思ったら手、振り払われたし。でも、今は関係は良好だと思う


それに「クソ野郎に呼ばれた」って言って5日間帰ってきてないんですけどあの人!!

あ…でも、手は出してこないんだよね。
すぐ手出してくるかな？と思って警戒してたけど思ったより紳士だったし。あ、だからヒモって言われるのか。


「また靴下落ちてる！」


これで何回目だよ！てか5日間も居ないのに、靴下落ちてるってどゆこと？ほん怖に出れるよ？


「ただいま…」
「もう！お帰りなさい!!禪院さんまた靴下…」


扉が開く音と共にパパ黒の声が聞こえたので、靴下について問い詰めようとすると


「ッ、」
「…え」


青ざめた顔のパパ黒に抱きしめられた。
筋肉質な体が私に密着して、私の体温が急上昇していくのが分かる。すっぽりと頭まで覆われながら、体がピシリと固まるのを感じた。


「は、え？」
「わりぃ…ッ」


さらにきつく抱きしめられる。アナコンダに締められてる気分。しかし、パパ黒の喉の奥から絞り出したような声に上がっていた体温が冷えていく。

……もしかしてクソ野郎って、禪院家の人だったのかな。
…私の勘違いかもしれないけど、五条先生に会ったのかもしれない。「後にも先にも俺が気取られたのはその時だけだった」そう言っていたし。
使いたかった綿棒の箱を高いところでプラプラさせてニヤニヤしてるような人だ。性格悪いんだなってあれで再確認したよね。

それはともかく、こんな必死になっているところなんて初めて見た。きっと帰っても酷い扱いだったんだろうな。
好きで生まれてきたわけじゃないのに、そんな中で五条先生に会って…いや、まだ五条先生じゃないか。さとるくん、くらい？

でも、きっとこんなになるくらい辛かったんだろう。


私には、このまま抱きしめていることしか出来ない。


「…大丈夫。大丈夫ですよ。私がいますからね」


こんな言葉をかけることしか出来ないの？

…いや、今辛いのは私じゃない。私が辛くなるのはお門違いだ。
抱きしめることしか出来なくても、言葉をかけることしか出来なくても、それが私の精一杯。





せめて、今だけでも禪院家の呪縛を忘れられるように。

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