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へぇ、と声を漏らして画面に目を向ける。
その目は少しうるうるとしていて
1粒の涙が、ゆっくりと零れた。
それにAは気づいていないようで
指で拭うと驚いた表情を浮かべた。
A「、、、ん、泣いてたか?
はは、可笑しいな」
自嘲気味に笑い
可笑しい、と言う。
虚「、、、可笑しくないですよ
貴方は今生きてますからね」
A「、、、ふ、可笑しくない、か
そうだと良いんだがな、、、」
よく良く考えれば
彼女は愛を知らなすぎた。
親に会ったことは無く
親代わりに酷い目に合わされ
それからもずっと、、、
悲しさの中で生きてきた。
それで今度は自分が生きているという確証がなくなった?
なんて酷い。
この人がどうしてこんなに苦しまなければいけない?
幸不幸不平等なこの世界。
、、、いや、
幸不幸不平等だからこそ
私たちは出逢えたのかもしれないですね。
松「中毒、、、いや、依存ですかね」
A「、、、??」
Aは不思議そうな顔をしたが
いい所なのに見逃しますよ、
と言うと直ぐに画面をみた。
私も虚も
もうAなしでは生きられない。
溺愛、執着、偏愛、、、
私たちに芽生えたその感情は
Aがいなくては存在する意味が無い。
常に頭の中ではAの事を考える。
こんな事を言うのもどうかと思いますが
Aが喜べば喜びますし
悲しめば悲しむ。
Aが怒れば怒りますし
Aが怒るのを我慢すれば苦しくなる。
Aが自分を殺して
迷惑をかけている、なんて考えてるうちは
どうすれば笑ってくれるのか
そんな事をずっと考える。
Aならなんでもいい。
殺されたって貶されたって構わない。
、、、Aのお陰で
私たちは今、ここに生きているのですから。
だから、笑って欲しい。
どんなにぎこちなくても
どんなに乱れてもいい。
ただ、心から笑って欲しくて。
うとうとしだしたAを2人で抱きしめて
A「、、、ね、たくない
こわい、、、」
というAに優しく口付けする。
松「大丈夫、悪夢を見るのも
貴方と一緒です」
Aの目が段々と微睡み初めて
すぅ、と寝息を立て始めた。
虚「可愛いA、
貴方の為なら何でもしますよ」
もう眠ってしまったAの額に虚は口付けし
その顔がとても慈愛に溢れているのに気がついた。
ああ、、、、、
貴方も私と同じ
中毒者、なんですね。
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作者名:ありやけさん | 作成日時:2021年1月20日 23時