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普通。

それに何度憧れたか。


、、、何度挫折したか。


A「、、、私はこういう被害に遭うのは初めてじゃない

だから

泣いたりとか、そんな器用な事は出来ない」


彼にはそう言って帰らせた。

だって、そうだ。



私が泣いたところで何一つ変わらない。


今泣くのなら

最初に泣いておくべきだった。


得とか損とかはよく分からないが

それが私に1番楽な手段だった。


今更泣くだなんて

私がそんな卑怯なこと出来ない。


松「A」


A「ん?どうした?」


背後から名前を呼ばれ振り返らずに返事をする。


松「寂しいので抱きしめてください」


虚「、、、」


ぎゅっとから抱きしめられる。

温さが伝わってこちらも少し暖かくなる。


A「、、、」


ああ、分かっている。


表面上で

上辺だけ薄ら笑いをへつらっても


こいつらには分かってしまうことを

私は分かっていた。


虚「、、、私たちでは、

貴方の助けにはなれませんか。


貴方の想いを伝えられませんか」


違う。

そんな顔をしないでくれ。


ぎゅう、と胸が締め付けられる。


だって、、、


A「言った、所で意味なんか、、、」


松「意味なんか必要ないです

貴方の今の気持ちを押し殺さずに


話して欲しいんです」


ああ、



やっとその言葉を聞けた。


A「、、、


怖いんだ」


虚「怖い?何故です?」


小刻みに震える私の手を優しく握り

指をからめる。


A「裏切られる、事。

と言うより


それを期待してしまうことが」


期待するから裏切られたと思うのだ。

だったら期待しなければいい。


それだけ。

それだけ、なのに、、、


A「頭ではちゃんとわかっているんだ。


それを求めなければ

それを信じなければいいことくらい」


それでもどこかで

私は密かに期待していた。


そんな自分が嫌で嫌で仕方ない。


虚「そう、ですね

貴方がそう思うのも無理ない。


しかし、、、

私たちには期待してくれて良いんですよ


裏切る、なんて事しませんから」


信じて、いいのだろうか。

いや、


信じるべきなのだ。


不信になればなるほど

自己嫌悪がするだけなのだから。

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作者名:ありやけさん | 作成日時:2021年1月20日 23時

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