act.55 ページ5
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どうやって会社に戻ったのか、記憶にない。
なんだか気持ちがふわふわしている。
ユンギに再会できたのは、夢なんじゃないかってくらい。
幸運にも部署のフロアに残っているのは数人で、だらんと椅子に腰をかけても、怪訝そうにわたしを見てくる人なんていない。
「はぁ…」
インタビューに行く前に買った飲みかけのコーヒーを口に含むと、じんわりと苦味が広がった。
カバンの中からレコーダーを取り出して今日のインタビューを振り返る。
" A "
わたしの名前を呼ぶユンギの声に胸が苦しくなる。
久しぶりに名前を呼ばれて、意識飛びそうだった…
わたしの大好きな声も、変わってない。
名前を呼ばれただけで、その瞬間宇宙で一番幸せなんじゃないかって錯覚にも陥るくらい。
わたしの全ては、未だにユンギでできているんだと思った。
「…ドキドキ、したなぁ…」
未だに高鳴る心臓に手を当てて、ふぅっと深呼吸。
名前を呼ばれた部分を何度も何度もリピートして聴くと、今日のことはやっぱり夢ではないって再確認できる。
「あ、ジヨンさんに報告しないと…」
電話に手を伸ばして、社長室へ内線を鳴らす。
まだいるかな…
呼び出し音が何度も鳴るだけで、受話器が取られることはない。
報告は後日にでもしよう。
レコーダーに落とした音声をジヨンさんに聞かせることはできないから、報告するまでに少しだけ纏めておこう。
カバンからユンギの連絡先の紙を取り出して、また一つため息をつく。
「登録しといて。」って言われたから登録はしたけれど。
連絡するべきか、しないべきか…
今日はありがとう。ってメッセージでも送った方がいい？
やっぱりわざわざ送らない方がいいかな…
「あー、もうわかんない。わかんない…」
ユンギが言っていた気持ちが変わってなかったらって、それはわたしの気持ちだとして…
じゃあユンギの気持ちは？
…
怖い。
核心に触れるのが、ものすごく怖い。
もう一度ユンギを失う覚悟は、わたしにはない。
腹をくくれと言われても、それは無理だ。
もう一度昔みたいに…なんて、そんな簡単なことじゃないよね。
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まりぶ〜(プロフ) - コメント失礼します！ほんとに、今読んでいる作品の中で1番好きです！このご時世いろいろ、あると思いますが、頑張ってください！これからも作品楽しみにしています！ファイティン！ (2020年5月4日 2時) (
レス) id: 035bd86621 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y | 作成日時：2019年4月21日 0時
