84 医者 ページ37
「うげっ！」
「のうっ！」
鈍い音と共に、男たちが雪の中へ倒れる。驚いたようにAが顔を上げれば、見覚えのあるシルエットが…二匹のラパーンが、男達を殴り倒していた。
ﾙﾌｨ「白熊…！」
ガル、と子供を肩に乗せたラパーンが短く唸る。「行け」とでも言いたげなそれに、ルフィは一つ頷いて礼を言った。
ﾙﾌｨ「ありがとう、助かった！A、もうちょっとだけ頑張れよ！！」
『うんっ…！』
無我夢中で駆け出す。ラパーン達が作ってくれたこのチャンスは絶対に逃してはいけない。凍りつきそうな足を動かして、2人はまっすぐ雪道を進んだ。
どれだけ走っただろう。吹雪の勢いは増し、足跡もかき消されるほどの豪雪の中、2人は亡霊のように足を動かしていた。
ﾙﾌｨ「医者…ハァ…医者…」
ガチガチと歯を鳴らしながら、ルフィは念じるように呟き続ける。もう足の感覚など消え失せ、トレードマークの麦わら帽子には大量の雪が積もっている。だが、Aもそんなルフィを気にかける余裕はない。
『…こ、の上…？』
ざく、と足を止め、目の前を見上げる。
つくづく、断崖絶壁という言葉の似合う山だ。斜面や木など無く、ただ表面が微妙に凹凸しているだけの円柱形。常人なら頂上どころか1mだって上へは登れないだろう。
ﾙﾌｨ「てっぺん見えねェや」
ぽい、とルフィは草履を脱ぎ捨てた。それに倣って、Aもブーツを脱ぐ。サンジを繋ぐ命綱をぎゅっと締め直して、手袋は彼の首元へ入れた。先にルフィが山にしがみつき、道を切り拓くように先へ行った。
『純度20%』
ガキン、と手が薄灰色に染まる。小さな出っ張りに手をかければ、石と山が擦れる重い音が響いた。重力に逆らい上へ上へとよじ登る。
ﾙﾌｨ「医者…」
バリ、とルフィの指先から血が滲んだ。パキ、とAの指先がひび割れた。落ちそうになったAをルフィが捕まえ、進めなくなったルフィをAが押し上げた。
『…！！』
意識が朦朧とする。遠のきかけたそれを必死に保ちながら手を動かせば、ふと指先が大きな縁に引っかかった。
『あ』
目の前に、童話のような幻想的な風景が広がる。数刻ぶりの平らな地面に、世にも美しい真っ白な城が建っていた。
ﾙﾌｨ「きれいな城だ…」
ぽろ、とルフィが隣で呟く。うん、と返そうとした口は空ぶり、掠れた息が漏れ出ただけだった。
ﾙﾌｨ「…医者…」
ぼふ、と2人はそのまま雪の中へ倒れ込んだ。
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あーね(プロフ) - お待たせしました続編制作致しました…！次の話でもよろしくお願いします！ (12月30日 23時) (
レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 初心者です！さん» コメントありがとうございます！更新遅くなっちゃってごめんなさい（ ; ; ）頑張ります！！ (11月26日 16時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
初心者です！ - 更新頑張ってください！＆更新お疲れ様です。 (11月26日 16時) (レス) @page39 id: 4136f150ea (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 蘆花さん» コメントありがとうございます！宝石の国要素は今んとこマジで要素でしかないのでもっと見せていけたらいいな…更新頑張ります！ (11月8日 20時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - んー可愛い！宝石の国要素マジで好きです！…もし砕けてしまったら記憶とか…なくなっちゃうんでしょうかね。クッ…見たい…。更新応援しています！ (11月8日 19時) (レス) @page28 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーね | 作成日時：2023年9月21日 22時
