82 がんばって ページ35
厳しい吹雪の中、ざく、ざく、と深雪を踏み締める音だけが響く。軽快に弾んでいた会話も鳴りをひそめ、この天候下薄着で全身に霜焼けを作るルフィと明らかに体に不釣り合いなサンジを引きずるように背負うAは、ふらつきながらもただ医者を目指して歩いていた。
ﾙﾌｨ「…」
『…』
荒い息が空へ吸い込まれる。ふと雪の中に、高い唸り声が聞こえてきた。
ﾙﾌｨ「…！」
弾丸うさぎ。Aの脳裏に言葉が流れる。ラパーンの子供が、雪に埋もれた親を掘り出そうと鳴きながら雪を掻いていた。無言のままルフィがそれに近づいて、かろうじて地面から出ている巨大な手を掴む。ぼこ、と雪煙を上げて引き抜き、少し後ろを歩くAを振り返った。
ﾙﾌｨ「大丈夫か？」
『うん』
またずり落ちそうになったサンジを背中に乗せ直して、Aは急ぎ足で雪の中を歩く。深く積もった雪はAの膝上までを覆い、履かせてもらったブーツの中はすでにぐしょぐしょに濡れ切っていた。でも、歩みを遅らせるわけにはいかない。
『サンジ…』
息切れの隙間で、かき消されそうな声を出した。
『僕…カップケーキ、作れないよ』
あの日のバターの香りを、冷たい夜風を、不器用に優しい笑顔を思い出す。あの後、何回か一緒に作ったカップケーキは、みんなどこかいびつで最高とは言えないものばかりだ。だから。
『死ぬ、しないで…がんばって』
少し前を歩くルフィを、懸命に追いかける。医者にさえ見せれば、助かる。それを信じて、一心に雪を踏み締める。
「見て下さい！いましたワポル様！！」
「ブチ殺してくれる！！」
唐突に、背後からやかましく騒ぎ立てる声が聞こえてきた。
ﾙﾌｨ「！」
『…？ だれ？』
ﾙﾌｨ「この前船襲ってきたやつらだ」
面倒ごとの匂いを嗅ぎつけたか、ルフィは「急ごう」と足を早める。つんのめりそうになりながら足を進めようとするAの隣を、何かが通り過ぎた。
「待ァてェい！！」
2人の前に、毛深い生き物に乗った奇妙な3人組が立ちはだかった。
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あーね(プロフ) - お待たせしました続編制作致しました…！次の話でもよろしくお願いします！ (12月30日 23時) (
レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 初心者です！さん» コメントありがとうございます！更新遅くなっちゃってごめんなさい（ ; ; ）頑張ります！！ (11月26日 16時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
初心者です！ - 更新頑張ってください！＆更新お疲れ様です。 (11月26日 16時) (レス) @page39 id: 4136f150ea (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 蘆花さん» コメントありがとうございます！宝石の国要素は今んとこマジで要素でしかないのでもっと見せていけたらいいな…更新頑張ります！ (11月8日 20時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - んー可愛い！宝石の国要素マジで好きです！…もし砕けてしまったら記憶とか…なくなっちゃうんでしょうかね。クッ…見たい…。更新応援しています！ (11月8日 19時) (レス) @page28 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーね | 作成日時：2023年9月21日 22時
