76 ラパーン ページ29
風がさらに強くなる。変わらない雪景色の中、少しずつ大きくなる山をただまっすぐ目指して一行は前へ進んだ。
ｻﾝ「ナミさん、気をしっかり持つんだぜ…ちゃんと医者に連れてくからよ」
サンジの呼びかけにも、ナミは反応せずぐったりと下を向いている。ただ意識を保つのにも必死なのだろう。ざっくざっく、とルフィは素足で雪を掻き分けながら跳ねるように進む。
ﾙﾌｨ「雪がだいぶ積もってんなこの辺は」
ｻﾝ「おいルフィ、もっとそ〜っと走れよ！ナミさんの体に響くだろ」
非難しながらも、サンジも登山とは思えないハイペースでぐんぐん進んでいく。Aも少し後ろにポジションを取っているが、この調子で行けば後30分もせずにあの山の麓には着けるだろう。
『！ まえ』
ふと、Aが焦ったように声を出した。
ﾙﾌｨ「ん…？」
ｻﾝ「んん！？」
目の前に、白い壁がある。
否──それは、生き物だ。真っ白で巨大な体を仁王立ちにさせて、肩には小さな仔を乗せている。弾丸うさぎ、とAはその見覚えのある顔に呟いた。
ｻﾝ「な…何だよこいつら…！」
ﾙﾌｨ「白くてデケェから白熊だよ間違いねェ！」
圧倒されたサンジの声に、うさぎ…ルフィに言わせれば白熊の背後からぞろぞろと仲間が顔を出す。群れだ。
『ん…！？これ、ドルトンの』
巨大、うさぎ、群れ、と単語をつなぎ合わせて、Aの中で一つの解が出る。それを声へ出す前に、うさぎは高く飛んだ。ギラ、と鋭い爪が光る。
ｻﾝ「うわ！！」
咄嗟に横へ転がり、サンジはなんとかそれを避けた。先程の小さなうさぎとは比べ物にならない破壊力だ。
ｻﾝ「ウソだろなんだこの動きは…！ゴリラかよ！」
ﾙﾌｨ「違う！！白熊だ！！」
ｻﾝ「うさぎだよ！！…いや…」
サンジも、答えに辿り着いたようだ。Aはルフィと背負われるナミを背後に庇うように前へ出る。
『らぱーん』
ｻﾝ「で、この数か…！」
ひやり、とサンジの背中に嫌な汗が伝う。吹雪に紛れて正確な数はわからないが、少なくとも十匹以上は…下手すれば三桁レベルの超巨大な群れだ。この雪にまみれた足場でこれだけ動けるのは、流石雪山の動物といった所だろうか。幸先良くないな、とサンジは眉間へ皺を寄せた。
『戦う？』
ｻﾝ「おう…だが待て」
戦闘モードなAに少し待てとハンドサインを出して、サンジは口を開いた。
ｻﾝ「いいかルフィ、お前は絶対にこいつらに手ェ出すな！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーね(プロフ) - お待たせしました続編制作致しました…！次の話でもよろしくお願いします！ (12月30日 23時) (
レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 初心者です！さん» コメントありがとうございます！更新遅くなっちゃってごめんなさい（ ; ; ）頑張ります！！ (11月26日 16時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
初心者です！ - 更新頑張ってください！＆更新お疲れ様です。 (11月26日 16時) (レス) @page39 id: 4136f150ea (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 蘆花さん» コメントありがとうございます！宝石の国要素は今んとこマジで要素でしかないのでもっと見せていけたらいいな…更新頑張ります！ (11月8日 20時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - んー可愛い！宝石の国要素マジで好きです！…もし砕けてしまったら記憶とか…なくなっちゃうんでしょうかね。クッ…見たい…。更新応援しています！ (11月8日 19時) (レス) @page28 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーね | 作成日時：2023年9月21日 22時
