66 銃声 ページ19
『ナミ、ナミ…いたい、ない？』
ベッドへ駆け寄って声をかけると、ナミは薄く目を開いた。ぼーっと潤んだ目でAを見つめ、小さく頷く。ほ、と胸を撫で下ろすと同時に、瞼がまた閉じられた。
『ビビ、ナミだいじょぶ』
ﾋﾞﾋﾞ「本当？良かったわ…」
濡れた床の処理を終えたビビの隣へ座り込む。船は揺れこそ収まってはいるが、外はいつもより騒がしかった。何かが起きているようだが、病人のナミを置いていくよりは男達にその場を任せた方が良いだろう。ぽす、と何気なくビビの肩へ頭を預けると、ビビは優しくAの頭を撫でた。
ﾋﾞﾋﾞ「…Aさんも、医者にかからないとね」
『なんで？』
ﾋﾞﾋﾞ「ほら」
ビビの黒い瞳が下へ向かう。いつのまにか緩んだ包帯から、太ももに走るヒビが覗いていた。
ﾋﾞﾋﾞ「このヒビ…全然小さくならないもの。能力のせいかはわからないけど、治せるなら治した方がいいわ」
『もう、いたいないよ』
ﾋﾞﾋﾞ「もうっ…そういうことじゃないの！」
理解できていないように首を傾げるAの頬をうりうりと弄ぶ。この子供は、何故だか自分の「痛み」に鈍感だ。記憶を失ってしまっていることも大いに関係しているだろうが、このままでは危なっかしくて目を離してなんていられない。成長に悪影響が出る前に、記憶を取り戻して…いや、せめて自分を大切にすることを理解してもらえたらいいんだけど。
─ドドドドォン！！
ﾋﾞﾋﾞ「！？」
『！』
不意に、衝撃音が静かな部屋に響く。この速さ、重さ…間違いなく銃声だ。騒がしかった外の男が、だんだんと戦場のそれになっていく。ビビは思わず立ち上がった。
ﾋﾞﾋﾞ「銃声…！？Aさん、カルー、ナミさんを見てて！」
『まって』
ﾋﾞﾋﾞ「すぐ戻ってくるから！」
ついてこようとするAを押し留めて、ビビは甲板へ飛び出す。開け放った扉が、何かにぶつかって鈍い音を立てた。
ｻﾝ「やあ…ビビちゃん、ナミさんに異常は？」
ﾋﾞﾋﾞ「え…これは…！？」
甲板いっぱいに、たくさんの人が倒れている。戸惑うビビが辺りを見回すと、ふと見覚えのある顔を見つけた。
「ぬ…なんてカミにくい奴だ」
ﾋﾞﾋﾞ「！」
どぎつい紫の髪に、民族衣装を纏った樽のような体。確かあれは───
ﾙﾌｨ「吹き飛べェーっ！！」
脳裏に名前が浮かんだ瞬間、男の口から長く伸びた腕が…ルフィが、男を思い切り弾き飛ばした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーね(プロフ) - お待たせしました続編制作致しました…！次の話でもよろしくお願いします！ (12月30日 23時) (
レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 初心者です！さん» コメントありがとうございます！更新遅くなっちゃってごめんなさい（ ; ; ）頑張ります！！ (11月26日 16時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
初心者です！ - 更新頑張ってください！＆更新お疲れ様です。 (11月26日 16時) (レス) @page39 id: 4136f150ea (このIDを非表示/違反報告)
あーね(プロフ) - 蘆花さん» コメントありがとうございます！宝石の国要素は今んとこマジで要素でしかないのでもっと見せていけたらいいな…更新頑張ります！ (11月8日 20時) (レス) id: a59d493da5 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - んー可愛い！宝石の国要素マジで好きです！…もし砕けてしまったら記憶とか…なくなっちゃうんでしょうかね。クッ…見たい…。更新応援しています！ (11月8日 19時) (レス) @page28 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーね | 作成日時：2023年9月21日 22時
