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1.名前の無い毒 ページ3

3.

解剖室へ運ばれてきた棺のフタを木林さんが開ける。


木「死後10日経過、保存状態が芳しくなく熟しておられます。」


さすがに死後10日も経っていれば遺体の腐敗は進んでいるし
臭いも相当だろう。


その腐った臭いに私と木林さん以外の全員が顔をしかめる。


神「立て続けで申し訳ない。どちらか解剖をお願い出来ますか?」


『中堂さんどうします…って、どこ行くんですか?』


中堂さんの背中を、三澄さんが追う。


三「じゃあジャンケンで!あみたくじ、サイコロ振りましょうか?…コイントスとか?」


解剖室の外の椅子に座って、靴下を投げ捨てながら
中堂さんが口を開く。


中「その、クソみてぇな提案いつまで続くんだ?」


三「私はただ、公平に決めようかと」


中「公平…。便利な言葉だな。じゃんけんでも貧乏くじでも引いてやるよ。俺の実績に並んだら公平にな!」


中堂さんはそう吐き捨てて、どこかへ行ってしまった。


久「ちなみに、Aさんって実績……」


『あ、8000件あるよ』


久「8000件!?」


神「中堂さんは解剖経験3000件超え」


久「三澄さんは?」


三「1500。すみません、並ぶ気配も無くて」


謝る三澄さんに所長が慌ててフォローする。


神「いやいや、三澄さんだってその年にしてはすごいよ?」


東「ですよね…。数が多くても適当じゃ意味ないし」


木「あの!……ご遺体、お任せしてもよろしいですか?」


三「あ、はい!」


そんな訳で私は中堂さんの代わりにもう片方の解剖をする事に。


木林さんが三澄さん達が解剖する男性の身元を説明する。


木「今回のご遺体は、高野島 悟 さん 35歳。

一人暮らしで、連絡が取れないことを不思議に思った

恋人の馬場路子さんが部屋を尋ねてそこで発見されました」


警察官簡易検査をしたところ、事件性無しと判断され、
「虚血性心疾患」と診断されたそう。


と、ここで疑問を持った久部くんが口を開く。


久「虚血性心疾患って解剖しなくても分かるんですか?」


『だいたい、そんなところって感じかしら』


久「だいたい…?」


神「このご遺体の場合、発見場所が悪い。医大から40キロ離れてるもん」


久「それがどう…??」


三「大変でしょ?運ぶの」


久「そんな理由!?」



予想外の返答に驚きを隠せない久部くん。


東「近くに医大があっても所轄との仲が悪くて頼めない、とかね?」


坂「うんうん」


久「そんな理由?」


日本の解剖率、低いしね…。

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作者名:てちねる | 作成日時:2021年9月17日 18時

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