私の彼の事② (ページ9)

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我儘な夜にページ9

「濱くん、コンビニ行こう？」

「え？今から？」

「うん」

「何買いに行くん」

「ラーメン」

「いや、さっきお菓子たらふく食べてたやん」

「どうしても食べたいねん」

「えぇぇ…、」

「じゃあ1人で行ってくる」

「いやあかんて。こんな時間に」

「じゃあ行こうよ」

「もー…、風呂入ったのに、」

月に一度やってくる。

その時だけは、
女性ホルモンのせいにして爆食女王と化す。

そして食欲も爆発するけど、
ワガママも爆発する。

"もー"とか言いながら、
サッと上着を羽織って出掛ける準備をしてくれる彼の優しさに今日も今日とて甘えるのだ。

「ちょいちょいA、」

リビングから出ようとした所で呼び止められたから振り返ってみると、
彼の手には私のロングカーディガン。

「流石にちょっと露出が過ぎるわ」

そう言うと、
私の肩にカーディガンを掛けてくれた。

最近ちょっと暑くなってきたから、
部屋ではタンクトップで過ごしている私。

彼の好きな所を上げたらキリがないけど、
こういう所も大好きだ。

カーディガンに袖を通しながら、
そんな事を思うワガママな夜。

「濱くんとデート久しぶりやな〜」

「デート？」

「うん。コンビニデート」

深夜という事もあって、
昼間とは全然違う静かな世界に浸りたくなる。
彼を独り占めしているこの瞬間にどっぷり浸りたくなる。

「！」

キュッと彼の手を掴めば、
それに反応して私を見る彼。

「濱くんは気づいてへんかもしれんへんけど、こうやって手繋ぐのも久々やねんで？」

「…あぁ、」

「私がこんな時間にラーメン食べたくなった事に感謝してほしいくらいやねんけど」

「なんやそれ」

鼻で笑いながら、
自然と恋人繋ぎに変わった瞬間、
前方に見えてくるコンビニの明かり。

この時ほど、
こんなに近くにあるコンビニを恨んだ事はない。

あっと言う間に到着したコンビニで、
さっきまでの乙女な雰囲気が嘘かの様にラーメンだけに留まらず、
お菓子も追加購入して貰って何の色気もなく私は再び爆食女王に戻るのだ。