私の彼の事② (ページ8)

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「…A？」

漫画をパタンと閉じた音がしたと思ったら、
ぐいっと私の顔を覗き込もうとしたから、
そんな彼を制止するために更に顔を背けた。

「うそやん。泣いてんの？」

ついには実力行使で私の肩をガシッと掴んで振り向かせる彼。

「なぁAって、」

すかさず顔を覆うというカウンター攻撃を決める私。

「え…、」

"涙は女の武器"とはよく言ったもんで、
顔を手で覆ってるから彼の姿は見えないけど、
容赦なく動揺してるのが分かる。

「未来人にそんなに思い入れがあるなんて思わへんかった…」

その言葉に吹きそうになったけど、
何とか我慢して泣き真似を続行していたら、
フワっと抱きしめられた。

「ごめんって、…未来人おもろかったで？ありがとう」

私へのフォローなのか、
未来人へのフォローなのか。
そもそも"ありがとう"って、
何に感謝してんねん。

とかそんな事を考えていたら、
我慢の限界が来て、
彼の腕の中で笑いが爆発してしまった。

「……」

言わずもがな嘘泣きはバレて、
すぐさま私を体から離して元のポジショニングに戻った彼。

「全っ然おもんない。未来人」

最後にそんな悪態をついてきた彼に、
来年のエイプリルフールは"月星人"になろうと誓った。