私の彼の事② (ページ11)

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A。

俺は、

Aがおったら他になんにもいらん。
Aの為やったらどんな事でもする。
多分バンジーも飛べる。
いやそれは嘘。
無理。

ごめん。

Aは"なにそれ"って笑うけど、
でもほんまにそうやねん。

だからA。
俺から離れんといてな。

そんな事をベッドの中で言えば、
"濱くん大好き"って俺に擦り寄ってくるAが可愛すぎて、
Aの全部が欲しくなって無茶苦茶にしてしまう。

俺はそんな人間やから。
ごめんな。

"何で謝るん？"

ちょっと不安気に俺の顔を覗き込むAが、
消えてしまいそうなくらいに綺麗で、
異様な感情が俺を襲う。

その感情に怖くなってAを強く抱き締めた。

"濱くん、"
俺の名前を呼ぶAの声を聞きながら、
もっと俺を欲してほしいと思う俺は病気かな。

このままAが俺の腕の中で消えても、

いや寧ろそっちの方がいい。
俺の知らん所で消えて失くなるくらいなら、
俺の腕の中で…、

「……、」

はぁ…、

生温い夢に、
しんどさを覚えながら、
どうにかこうにか目覚めようと上体を起こす。

すぐに襲ってくる違和感に、
今までにない恐怖を感じた。

「あ、濱家さん、おはようございます、」

ごく自然に、
声がした方に顔を向ける。

濡れた髪の毛を、
バスタオルで軽く拭き上げながら、
こっちに向かってくる彼女。

「濱家さん？」

その瞬間に、
思考回路は停止。

「やっぱり覚えてないですか？」

少しシュンとしながら、
俺の横に座る彼女。

「私、別に2番目でもいいです。濱家さんと一緒に過ごせるなら何でもいいです」

そう言いながら、
俺の顔を覗き込んで来る彼女に、
ゴクリと生唾を飲む。

俺は何をした？

「お互い酔っ払ってたし、不可抗力です」

いやいやいや、
ありえへん。

「そういえば、何回もスマホ震えてましたよ」

彼女のその言葉に、
サイドテーブルに置いてあったスマホを確認すると
Aからの着信が数件。

「濱家さん」

俺の名前を呼んで、
俺に腕を絡ませてくる彼女。

「私、Aさんじゃないですよ」

思考回路は停止したまま。

「何回も彼女さんの名前呼んでましたけど、私はAさんじゃないです」

完全に詰んだ。