whiteday ページ1
「A、これ」
「え、もしかしてホワイトデー？」
「うん。いつもありがとう」
バレンタインありがとう。
とかじゃなくて、
"いつもありがとう"って言う所が彼の素晴らしい所な訳で……。
コトンとテーブルの上に置かれたピンクのリボンが掛けられた小さめの箱。
まるでリングが入ってるかの様なその佇まいにドキドキが隠されへんのは置いといて、
「開けてもいい？」
「もちろん」
スルッとリボンを解いてオープン。
「なにこれ」
「防犯ブザー」
「…………何で？」
「この前凄い怖いニュース観てんやん、俺がいっつもおる訳ちゃうから、もしもの時の為に」
「なるほど。でも何で2個？」
「Aの仕事用の鞄と出掛ける用の鞄に付けといて欲しいと思って」
もしかしてリングかも？！
とか思ったちょっと前の私を呪いたい。
「ありがとう」
「後これも」
更に出てきたのは、
長方形の箱。
まるでネックレスが入ってそうなその佇まいに、
数分前のドキドキ感を思い出す。
「開けてみて」
そう言われてパカッと開けてみる。
「えっ、可愛いっ、香水ネックレス？」
ほんとにネックレスが入ってた。
透明感のある薄ピンク色で、
スティック状の小さいボトルが付いたネックレス。
「それは笛になってんねんけど、女性に人気の防犯グッズ」
防犯グッズですやん。
いや違う。
別にアクセサリーが欲しいとかやないし、
彼からのプレゼントは何でも嬉しいねんけどな？
そりゃ、
ちょっとは期待するよ。
だってそれっぽい箱やもん。
そう思ってしまうのは悪くない悪くない。
全然悪くないよ。
え、悪くないですよね？
「アクセサリー感覚で付けれるから人気やねんて」
「確かに防犯グッズとは思われへん可愛さ、」
「いっぱい色あってさ、何色にするかめちゃくちゃ悩んでんけど、これが一番Aに似合うかと思って」
「ﾌﾌｯ、可愛い、ありがとう」
「後もう一つ、」
「えっ？まだあるん？」
次に出てきたのは紙袋。
何か徐々に大っきくなってってるんやけど。
「これも防犯グッズ？」
「これは防犯というか、んー……虫よけというか」
「虫よけ？」
もの凄く色んな物から守ろうとしてくれてるやん。
そう思いながら、
上からちょっと覗いてみる。
「え、」
「それはほんまに無茶苦茶迷った」
なんか、
Tiffany & Co.みたいな色した箱入ってるんですけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 209人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Lily | 作成日時：2022年3月25日 10時
