私の彼の事② (ページ4)

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✕✕✕ ページ4

「ほんとに可愛いやん」

「ほんまやなぁ」

自宅待機中の彼と、
コーヒーを飲みながらまったりテレビを観ていた。

まったりとは程遠い、
強烈なエピソードを投下する彼女は、
彼のファンで彼の事が大好きだという。

「こんなに可愛いコが✕✕✕とか言うてたんや」

「ｯｺﾞﾎ！！ｺﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ…」

「大丈夫？」

「………絶対他所で言うなよそんな事、ｺﾞﾎｯ、」

盛大に口からコーヒーを吹き出した彼は動揺しながらも汚れたテーブルの上を速やかに掃除しながら、
そんな事を言う。

「濱くんのタイプやん」

「いや、」

「可愛くてノリ良くて面白くて」

「いやいやいや」

「でも何かこのコが✕✕✕とか言っても下品やないね」

「言うな」

「で？どうなんですか？濱家さん」

「……なにが」

自分の右手をグーにして、
マイク風に彼の口元に持っていくと、
彼は少し表情を歪ませながらそう言った。

「可能性はあるんですか？」

「もう勘弁して」

私の手マイクは押し戻されて、
定位置に戻る。

「ﾌﾌｯ、ごめん。じゃあー…最後に」

「…なに」

「キスしてよ」

ちょっとたじろぎながら、
バッと私の顔を見る彼。

「え、」

「キス」

んーっと口を尖らせてみるけど、
こうやって直接的に言うと応えてくれないのは知ってる。

「✕✕✕」

「言うなって」

「じゃあキス」

「どんな二択やねん…」

「口塞ぎたくなるやろ？キスしてよ」

「なん…、いや、無理無理」

「なんで？いっつもおやすみのチューするやん」

「いやもう…、そんなん言われたら出来ひん…ってかいっつもそんな事言わんやん」

「何か彼女見てたら言いたくなった」

「どこに触発されてんねん」

「なぁ、してよ」

「もうー…」

「キスしてくれんと寝られへん」

「分かった分かった」

その瞬間に軽くキスをされた。

粘ってみるもんだな。

気づいたらもう番組は終わっていて、
すぐさまマグカップを持って立ち去る彼の耳は真っ赤になっていた。

コロコロと表情が変わる彼を見るのは飽きない。

テレビに出てる時も、
表情豊かでついつい釘付けになってしまうけど、
こんなに真近で体感出来るのは私だけの特権だ。