日本アカデミー賞授賞式 ページ9
助演女優賞枠で錚々たるメンバーと久しぶりの再会を果たしてしばらく。
同映画での受賞となった桃李くんと私は隣同士の席になった。
「桃李くんの嘘つき」
「ははっ、なんでだよ」
「桃李くんもお揃いにするって言ったのに…、裏切り者！！」
「裏切り者って、」
「これじゃ私と菅田がペアルックみたいじゃん！」
当日の衣装を、
菅田がお揃いにする？
って言ってきたから、
じゃあ桃李くんもって話だったのに。
しかも桃李くんは験担ぎで昨年と同じブランドがいいって言うからそのブランドでブラウン系のスーツ探したのに、
ちゃっかり自分だけ黒スーツで決め込んで、
結局私と菅田だけお揃いみたいになってる。
菅田は茶系の赤みがかったスーツに、
私は同じ様な色のセットアップ。
「Twitterでバズるかもね」
「…桃李くんの口から"バズる"？チックタックって言ってた人の口から？」
「うるせーな」
「ねぇ、まだ式始まんないし着替えてきたら？」
「やだよ」
「なんで？！約束したじゃん！」
「(声がデカい！)」
「あ…、(着替えてきてよ)」
「やだって…。あっ、じゃその花貸して」
そう言うと私の胸ポケットに刺さってた花を取って、
自分の胸ポケットのポケットチーフと交換してきた。
「これでいいんじゃない？」
「えぇ…、全然おそろい感ないじゃん」
「リンクコーデってやつだよ」
「何ちょっとオシャレ風に言ってんの。こんなのパッと見わかんないじゃん〜」
「菅田は多分気づくよ」
「絶対気づかない」
「気づく…あっ、そろそろ始まるよ」
そんな押し問答をしている間に、
授賞式が始まってしまった。
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作者名：Lily | 作成日時：2020年6月26日 4時
