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「中村倫也さん、小池栄子さんオールアップでーす！！」
スタッフさんのその声と共に、
拍手と歓声が送られた。
それと同時くらいに風花ちゃんが花束を持って2人に手渡していた。
その光景を見ながら、
倫也さんのえんじスーツも見納めかー…、
そしてキャストそれぞれの挨拶が済んで、
一通り落ち着いた頃、
倫也さんが私に気づいて近寄ってきた。
「あれ、Aも来てくれたの？」
「お疲れ様です」
その後から風花ちゃんと小池さんも来てくれて、
個人的に用意してたちっさめのお花を3人に渡した。
あの後大丈夫だった？って、
この前の飲み会の事を風花ちゃんに心配され、
写真撮られてたねって小池さんにイジられて、
倫也さんと2人でテヘペロしたら、
ほんとに付き合ってんじゃないのー？って更にイジられた。
散々私をイジった小池さんは、
次のお仕事があるとかで早々に切り上げて、
風花ちゃんは風花ちゃんでマネさんに呼ばれて、
私に"またね！"ってこれでもかっていう位のキュートなスマイルを置き土産に去っていった。
「あっ、そうだ。Aアカデミー賞おめでとう」
「え、なんで知ってんですか」
「朝マネージャーさんに聞いたから」
「ありがとうございますー！」
「最優秀取ったらご飯連れてってあげる」
「マジですか！あざます！！」
「何食べたい？」
「くじら！」
「中々渋いとこいくね」
「あんまり食べた事ないやつがいいなーと思って」
「ちゃっかりしてんな〜」
「テヘペロ」
「ﾌﾌｯ、じゃあ予約しとこ」
「いやまだ分かんないですよ？」
「Aなら取れるよ。頑張ってたの知ってるもん」
「明智さんの格好でそんな可愛い顔されても」
「ははっ、じゃあ俺もそろそろ行こうかな。朗報待ってるね〜」
そう言うと倫也さんは爽やかに立ち去った。
Aなら取れるって…、
ふつーに嬉しかった。
そしてくすぐったかった名前呼びも、
私の中にすんなりと浸透していた。
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作者名：Lily | 作成日時：2020年6月26日 4時
