菅田の本気 ページ24
数日前。
映画の撮影の合間に、
有名ブランドのショートムービー撮影で、
久々に菅田と一緒のお仕事だった。
「「エモい」」
出来上がった作品を観て、
思わず2人でシンクロする程美しい仕上がりだった。
菅田は前よりも痩せていて、
消えそうなくらい綺麗で破壊力抜群のビジュアルに仕上がっていた。
そんな痩せこけた状態で、
撮影当初は走ったり雨に濡れたりして、
短時間の撮影とは言え、
なかなか濃い時間で、
終わった後は"いい感じの疲労感やった"
って言ってたけど、
普段から"体力だけはある"と豪語するだけあって、
ヘバッてる様には見えなかった。
私も私で凄く美しく撮ってくれていて、
とても綺麗だった。
因みに過酷な撮影中ともあり、
私は自分の事を甘やかす様にしている。
「やっぱり凄いね、菅田は」
「そうやろ」
「否定しない所も凄いね」
「うん」
「…何か上の空？」
「今日この後仕事ある？」
「ううん」
「じゃあちょっと時間ちょうだい」
「なに？」
「ちょっと」
「なに？」
そう言って菅田の顔を覗き込んだら、
デコピンをくらって、
「また後で」
そう言われた。
そして仕事の話がひと段落ついた後、
菅田に"野菜バーに行きたい"と提案を持ちかけたら、
検討違いの返事が返ってきた。
「ウチ来て」
「え？」
「俺んち来て」
「菅田んち？なんで？」
「外じゃ話しづらいから」
「なに、そんな重い話？」
「んー…、まぁとりあえず来て」
「やだよ」
「なんで？」
「なんでって、」
「桃李くんちにも倫也さんちにも行ってんのに？なんで俺んちはあかんの？」
「いやいやそれはさ、用事があったからで」
「用事って…、ゲームに飲み会やろ？俺はAに話があんの」
確かにそうだ。
そしてこのまま嫌だ嫌だと言っても、
今日の菅田は引き下がりそうにないと思った。
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作者名：Lily | 作成日時：2020年6月26日 4時
